お題
□さいごの夏練
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『さつきちゃん、お疲れさま』
「名前ちゃんも」
『ふふ、そうだね、お互いにね』
夏休み最終日、明日から二学期が始まる今日も今日とて部活動だった。
でももう練習時間は終わって、あとは片付けをして帰るだけ。
さつきちゃんに誘われ恐る恐るすることになった男子バスケ部のマネージャー。
初心者のわたしは、さつきちゃんにフォローしてもらいながらなんとか夏休みの練習のサポートを終えることができた。
「最後の日に大ちゃんがちゃんと朝から学校に来たのには驚いたよ」
そう、いつも遅刻をしてくるか、サボって練習に来ないかの二択しかなかったあの青峰くんが、夏休み最終日の今日、練習時間が始まる前に、ここにやってきたのだった。
「なにかあったかなぁ…」
『うーん、…夏休み最後の思い出作りとか?』
「あは、大ちゃんに限ってそれはないんじゃないかなぁ」
『……………』
本当にどうしたんだろう。
するとさつきちゃんは、あ!と、声を上げた。
『どうしたの?』
「……………今日、大ちゃんの誕生日だ…………」
そう呟いたさつきちゃんを見て、なんとなくピーンときた。
『青峰くんさ、今日、朝から来たのは誕生日プレゼントを貰うため、とか?』
「えっ、あの大ちゃんが?わざわざ?」
『………わざわざ、来たのかも』
小首を傾げる美女に、にっこりと笑う。
『さつきちゃんからの、プレゼントを貰いに!』
思わず顔がにやけてしまう。
『相思相愛だねぇ!このこの』
肘でさつきちゃんをつつくが、彼女は無反応だった。
「え〜〜、それはないない!!わたし他に好きな人いるし、それに大ちゃんだって知ってるし!というか大ちゃんなんて論外!」
笑顔でバッサリ切られてしまった。
『えっ!さつきちゃん、好きな人がいるの?!』
さぞさつきちゃんファンはその相手を恨むであろう。
「それに大ちゃんはわたしよりもーーーって大ちゃん!」
さつきちゃんが振り向いた先の更衣室から出てきたのは噂の張本人、青峰くんだった。
「さつき、テメェ……」
何故か怒り心頭な青峰くんに、さつきちゃんは必死に首を振る。
「わたし、名前ちゃんにはなんにも言ってないよ!」
「………チッ、そうかよ」
そう言った青峰くんは、わたしたちに大股でぐんぐん近づいてきた。
………やっぱりすごく背が高いなぁ…
歩いているだけで圧倒されるっていうか……。
ぼんやりそんなことを考えていたら、青峰くんは、わたしの前で足を止めた。
「……………………」
『……………………』
「……………………」
黙りこむ三人。
上から青峰くん、わたし、さつきちゃん。
「………あ、そそそういえば、大ちゃん、今日、誕生日なんだよねぇ!」
『……なんだかしらじらしいよ、さつきちゃん……。あ、あの、青峰くん』
「な、なんだよ」
『お誕生日、おめでとう!ごめんね、わたし、いまさっき知ったんだ。……………言うのが遅くてごめん』
「…いや、ありがとうな」
………なんかさつきちゃんがすっごいニコニコしている。
「よかったねぇ、大ちゃん。名前ちゃんに一番初めに祝って貰えて」
「うるせーぞさつき!!」
仲がいいなぁと二人を見ていたら、青峰くんが再びわたしの方を向いた。
「おまえに、一番初めに祝って欲しかったんだ、………悪いか」
さいごの夏練
その日は貴方の誕生日
(えええ!?わたしに?!)
(あぁ、誰よりも先に、お前に)
(あははは、二人とも顔が真っ赤だよ〜)
………
雑誌に載っていた情報で知った時、このお題は青峰でいかなくては!と思い立ち即書きました。
初スマホ操作夢です。
文字の大きさどうしたものか……
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