お題
□気がついた8月末
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茹だるように暑い今日、わたしは学校に向かっていた。
よっしゃ夏休みだひゃっほー!なんてセリフはもう記憶の彼方に消えてしまった。
もうすぐ夏休みという名のバカンスは終わってしまう。
『はぁぁあ……』
「名字さん、なんか疲れてる?」
『……え?あ!有里くん!おはよう!』
「うん、おはよう」
正門を通る直前に、クラスメイトで隣の席に座っている有里くんが声をかけてきた。
『…あー、ほら、もうすぐ夏休みが終わっちゃうでしょ?あと、来年の夏休みはきっと今以上の地獄だから…ね。そう思うともう』
「来年は3年だもんね、受験だ」
『そーなんだよー!そう思うと憂鬱でさー。今でさえ補習がっつりしてるのに、これ以上になるのかーって』
「まぁ、そうだね」
こんなにもギラギラ太陽が照りつけている中でも涼しい顔をしている有里くんを思わずジト目で見る。
『なんか、有里くん、余裕だね』
「余裕、というよりは、達観してるのかも。まぁなんとかなるかな、なんて」
『ふーん』
そのまま有里くんと一緒に教室に入った。
まだ始業時間には早い時間なので一番乗りだった。
席に着いて補習で提出する課題を鞄から出す。
すると右隣に座っている有里くんがくるりと体ごとこちらを向いた。
『どうしたの?』
「…名字さんは、どこの大学に行きたいの?」
『県外にある大学。興味のある学科がそこにあるから』
「そっか」
そう、再来年にはわたしはこの土地にはいない。
少し遠い県で寮に入るか一人暮らしをするつもりでいる。もちろん受かったらだけど。
『有里くんは?』
「まだ決めかねているんだ」
『…なんか入学早々色んなサークルとかに引っ張りだこになりそう…』
「あはは、まさか」
いやいや貴方の素晴らしいスペックを知れば誰でもイチコロですよ。
ふと、我に返った。
そうか、あと1年と少しで、この高校生活は終わるんだ。
『なんか、寂しくなるね。あっという間に時間が過ぎていく気がするし』
「うん。……寂しいって何が?」
『卒業が、ね』
「そうだね。…僕は、名字さんが隣にいないくなるのが寂しいよ」
『それってどういう』
ビックリしながら隣を見たら、有里くんは綺麗に笑っていた。
「そのままの意味」
気がついた8月末
自分も寂しい、なんて
((今が永遠に))
((続いたらいいのに))
………
初キタロー夢です
うちのキタローのフルネームは有里奏くんです!
甘くしたくても、キタローお相手だとどうしても切なめになります…
はっちゃけたキタローを書いてみたい(笑)
このキタローはヒロインに話しかけるために朝学校に来る時間を合わせていたという微妙な設定があったりします←
あねはづるに乗りながら、何を話そうか考えてたりとか
キタローがヒロイン目当てで行動していたら良いなと思ったのです
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