お題

□打ち上げ花火があがった
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毎年、友達と一緒に行っている町の花火大会。
でも、今年からはわたしはひとりでこの花火大会に来ることになる。
歳は過ぎてもう青春真っ只中の年代になったとたん、友達は皆、彼氏が出来、そっちを優先するようになった。


『……まぁ当たり前だよね』


ひとりでやってきた初めての花火大会。
周りの同じ年代の子らのリア充たちにため息をついた。

こういうときにしか着ることのない浴衣は、相変わらず良い藍色だったけれど、わたしの心境はどす黒かった。


花火大会の開始時刻までは、夜店や催し物のあるステージを楽しんだりする。
わたしも周りに習い、夜店で買ったわたあめを買った。
カラコロと音の鳴る下駄により痛みを感じた足を引きずり、縁石に座る。
年に一度しかないこの花火大会は、地元の人はもちろん、遠方からもたくさんお客さんがやってくる。
ざわざわと行き交う人をじっと見る。
笑顔で隣にいる男性に話しかけている女性、父親らしき人に、お面を買ってとねだる男の子、金魚すくいをしている小さな女の子、団体で遊びに来ているどこかの学校の野球部員たち。
みんなが笑顔になる中、わたしだけが無表情な気がして、虚しくなった。


涙が出そうになり、思わず顔を膝に埋めた。

……ざわめきが突然止んだ。


恐る恐る顔を上げると、目の前にいたはずの人混みが、やけに遠くに見える。
よく眺めてみると、人混みが真っ二つになっている。
その波の空白地帯を悠然と歩いてくる人がいる。


『ひ、ばりさん』

「………………」


無言が怖い。
並盛の風紀委員長こと雲雀恭弥。
実は彼とは幼なじみとは誰も知らない。
だって名前で呼んだことはないし、学校では他人のフリだから。

どうして彼がここに。
あっ、お母さんが言ったのか?


「名前」

『…は、い』

「これからは僕と来ること」

『え?』

「二度は言わない。いいね?」





打ち上げ花火があがった

(来てくれて、ありがとう。一緒に花火、見たい)
(…そのために来たから)



………

久々に雲雀さん…口調行方不明
あんまり出てこないという←

140722


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