だいいち
□色づく世界
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目を覚ますとそこには見慣れた自分の部屋の天井があった。起きなきゃ、と思ったけど二度寝したいなぁとも思った。結局アラームが鳴って目がさえてしまい起きることにした。
「遅い」
そうわたしに開口一番に言ったのは生まれた時から腐れ縁のジャンだった。今日は朝練ないの、と聞いたら
「ない。じゃねーとここにいねーだろ」
我が家で普通にリビングで朝ごはんを食べているジャンはこれでもバスケ部のエースである。背丈はベルトルトくん、ライナーくんの方が高いがジャンは機動力があるらしい。バスケのことあんまり知らないからわからないけど。
『お母さんは?』
「早出だそうだ。お前が8時になっても起きてこなかったら起こしてほしい、とも言われた」
ジャンは食パンを頬張りながらそう言った。お母様、わたし昨日何も聞いていませんよ…。
「つーかお前」
なに、とギロリとジャンを睨みながら言った。
「今日日直じゃなかったか?」
日直、日直……
だったような気がする…
「昨日お前がうちに来た時に、“明日日直だから早く起こして”って言ってたろ」
『……ん?…だったかも』
「だったかもじゃなくだった、んだよ。あーもう早めに来て正解だったぜ」
日直は8時半までに職員室に、日誌を取りにいかないといけない。半から職員会議が始まるから。今は7時55分。速く歩いても学校までは15分かかる。学校は8時20分までに校門を潜らないと遅刻になる。
意外と時間がギリギリなのに気付き慌てる。あー、歯磨きしなきゃ。
バタバタと支度を整えているとジャンが後ろに立った。
腕をお腹に回される。
「…」
『…なに?』
「挨拶」
くるりとジャンの真正面に方向転換される。
ゆっくり顔が近づいてきた。
口と口が触れる。
「名前、おはよ」
『…おはよう、ゴザイマス…』
「…早く着替えてこい」
『ん、』
ジャンの手から逃れたわたしは自室に入る。
顔はもちろん真っ赤なはずだ。
生まれた時から腐れ縁であるジャンと、最近付き合うようになってからは世界が違って見える気がした。
色づく世界
こんなにも色がついて見えるなんて
(名前)
(う、わ!まままだ、着替えてないから!部屋に入ってくんな!)
(別にいいだろ)
(よくない!)
(……どうせすぐ脱がすことになるし)
(な、な、なにいってんの!バカジャン!)
………
はい、ジャンでした
はじめはこういう話しにしようとしてなかったのに…
でもジャンを書けて満足。
バカジャンって言わせたかっただけ(笑)
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