だいいち
□わたしの騎士さまっ!
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目の前が真っ白になった、っていうゲームのバッドエンド表現を実際に使うことになるなんて思わなかった。
寝不足でぶっ倒れたのだと保健室の先生に教えてもらい、ホワイトアウトした時のことをじんわり思い出した。
最近、名執くんに攻略を教えてもらったゲームの続きをしたくて堪らなくなり、5日ほど睡眠時間が急激に減ってるんだ〜、なんて、ホワイトアウト直前に攻略を教えてくれた名執くん本人と話していた記憶はある。
けどそのあとブツっと電源を切ったように記憶が途切れている。
目を覚ますとそこは保健室の白い天井が。
名執くんと話をしていたのは昼休みが終わる10分前だった。予鈴が鳴ったからよく覚えている。
保健室の壁掛け時計を見るとすでに4時を回っている。
なんとわたしは3時間以上熟睡していたらしい。
帰ります、と先生に言い、教室に置きっぱなしになっているであろう鞄と教材、筆箱、携帯等を取りに行こうとした手前、保健室の扉が開いた。
「…お!……お前、もう平気なのか?」
開口一番そう言い保健室に入ってきたのはわたしがぶっ倒れる直前まで会話していた名執くんだった。
『あ、うん、たくさん寝たし』
「マジビビったから、俺。名字が倒れるのスローモーションに見えたし」
『…あー、ごめん』
……なんか恥ずかしい。
てか名執くんはわたしが倒れた瞬間に目の前にいたんだよなぁ。
そりゃ誰だっていきなり目の前で喋っていた相手がぶっ倒れたらびっくりするよね。
「そうそうわたしもびっくりしたのよ」
保健の先生が会話に入ってきた。
『先生もびっくりしたんですか?わたしが倒れたから…?』
「ううん、違うわよ。名字さんじゃなくて」
くすくす笑いながら机に向いていた体を保健室の扉の前に立つわたしたちに向けた。
「名執くんにね」
訳が分からずわたしは先生を見つめた。
名執くんに?
「ちょ、先生、」
「名執くんね、あなたを保健室までお姫様抱っこで運んできたのよ」
「〜〜〜〜っ!!」
『おおおお姫様抱っこ?!』
「えぇ!ふふ、いやぁ若いっていいわね!」
職場で、しかも直に見られるなんて思ってなかったわよ、お姫様抱っこなんて!…先生は朗らかに笑っていた。
ちらりと扉の前に立っている名執くんを見た。
彼は文字通り顔を真っ赤にしていた。
『…あ、な、名執くんが運んでくれたん、だぁ〜!』
「……あぁ、うん、そう、…あ!…へへへへ、変なとこは触ってないから!」
ばちっと目が合った瞬間、互いにヘラヘラ笑うしかなかった。
「…そうだ、俺、名字の荷物持ってきたんだった。……はいこれ」
『…ありがとう』
ニタニタしながらわたしたちを見つめる保健の先生の目から逃れるように名執くんとわたしは保健室を後にした。
廊下を歩く最中、運んでもらったお礼を言っていないことに気付き、お礼を言ったらなぜかわたしに名執くんがお礼を言ってきた。
「姫をお助けすることができ、騎士であるわたくしは感極まっております」
なんかのキャラになりきっているときはその場のテンションで役に入りたい時と、ごまかしたい時であることを知っていたわたしは、名執くんの言動に突っ込まないでおいた。
わたしの騎士さまっ!
良い働きであったぞ、
なんて言ってみたら
有り難き幸せと返ってきた
(ねぇねぇ)
(なにー?)
(変なとこってどこ触ったの?)
(ブフォ)
(…ワオ、汚っ、唾が飛んできた……咬み殺すよ)
(雲雀さんキター)
………
名執くんとアニメを語り隊。
最後に復活ネタ入れたのは突発的に。
懐かし←
タイトルの“さまっ”は某うた〇リさんから拝借←
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