だいいち
□弱く引かれた先に
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荒垣先輩のために何かしたい、と意気込んでみたのはいいものの、先輩は料理もできるし戦闘時のレベルも高いのでタルタロスでは誰の手助けもいらない、その上みんなが学校に行っている時間に寮の掃除等してくれるなどなんとも出来た方だったのでわたしなんかが何かしたいなんておこがましいのかなと思った。
そのことをストレートに荒垣先輩に言ってみたけれど、お前はそのままでいたらいいなんて言われわたしの気持ちは晴れぬままで。
フラストレーションが溜まる一方なわけですが今まさに爆発しそうになっています。
『荒垣、先輩…』
「名前、」
『…どうしてこんな高熱になるまでほっといたんですか!』
今日はタルタロスにみんな行けるか風花に確認した時、荒垣先輩以外は、の言葉に疑問を感じた。
理由を聞けば、なんと先輩は風邪を拗らせ肺炎直前までの症状になっていたそうだ。
先輩が風花に直々に、わたしには黙っておけと口止めしていたらしい。
そんなの、
『黙って、いられたら、わたしが怒るって、わかって』
「泣くな。…名前、悪かった」
ベッドに伏せている荒垣先輩の横で顔を見られないように伏せているわたしの頭に先輩の手がのせられた。
ああ、こんなんで許してしまいそうになるなんて。
『薬は飲んだんですか?』
「あぁ」
『氷枕は…、あ、もう交換しなきゃいけないですね』
「…あぁ」
『ご飯、食べました?』
「………」
『…先輩?』
泣くのを堪えたわたしはすかさず風邪時の処置をしようと動いた。
そしたら先輩から返事がなくなった。
『先輩?寝ちゃいましたか?』
横になっている先輩の近くに寄り、呼吸を確かめる。
あぁ、寝息が……
氷枕を交換するべく部屋を出ようと立ち上がろうとすると、袖を引っ張られる感覚がした。
弱く引かれた方を見た瞬間、荒垣先輩と目が合った。
「………ありがとう、な」
弱く引かれた先に
(熱で顔真っ赤で)
(笑顔ってもう……!)
(写真を撮らなかったことを)
(深く後悔した)
………
P3Pのアンソロ読んで思った。
…風邪引きガッキー、萌え、と。
ヒロインの子は公子位置の主人公ちゃん。
130201