だいいち

□月
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最初で最後の月曜日






あのあと、場が持たず八潮くんを置いて逃げてしまった。



家に帰りつき気づく。

明日どうせ、教室で会うじゃん………!





行きたくないなと思いながらも、熱も目の腫れもないわたしを、我が母が欠席を許すわけもなく。


教室に入ったわたしは驚く光景をみた。



秋穂が泣いて……?




「わたしは応援したくて!」


「アキちゃんのやる気は空回りまくりだからやめてって言ったじゃん」


「でもでもっ!」


「でもじゃない。あと泣き真似止めて」



あ、泣いたフリをしていたのか。




「あっ、名前ーー!」



がばっと秋穂に抱きつかれる。



「わたし、言葉足らずだった?!」



言葉足らず…?



「ちょっと先走って告白の感想を聞きたかっただけなの!」


『言葉足らず…告白、の、感想』


「ほら、わたし火曜日に行ったよね!?カイ、告白してきたよね、って!」



それって、



「名前にはストレートにいったれ!って言ったからそのままカイが…」


「アキちゃんストップ。名字さん、混乱してるから」


え、え?

目の前で涙目でわたしに訴えてくる秋穂を尻目にわたしは恥ずかしさで顔が真っ赤になる。

はじめから、わたしが勝手に勘違いしていただけ?



「…名字さん」


『は、はい!』


「ちょっと話ししたいからこっちに来て」



ぐい、と手を引っ張られたと思ったら八潮くんと共に教室から走り出していた。






ついた先は屋上。



「…火曜日に、アキちゃんが変なこと言ったんだよね」


『あ、いや、変っていうか、わたしが勝手に勘違いしただけで、』


「…そういうとこも、好き」


『え?』




繋がれていた手を強く引かれた先には八潮くんが。
イコール今、わたしは八潮くんに抱き締められている。



『ややや、八潮く』


「こんな体制で言うの反則だけど、俺、本当に名字さんのことが好きなんだよ」


『っ、』



耳元で告げられた正真正銘の告白。

夢にまでみた八潮くんからの。



『わ、わたしも、八潮くんのことが好きだよ!』



抱き締められている力が強まった。








空回り、回りに回ってたどり着いた先は、



(八潮くん)
(なに?)
(…授業はじまるよ……?)
(今はこのままでいさせて?)
(………うん)







…………

130130



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