だいいち
□ドロドロに
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「う、っ、ひっく」
『よしよし』
学校から帰ってくるなり、廉はまっすぐわたしの胸に飛び込んできた。
小さい頃は廉はいつもわたしの背に隠れ、名前、名前とよく甘えてきたものだった。
中学は違う県の学校に行っちゃったから、あまり会うことは減っていたが、お盆やお正月の短い休みには会ったりしていた。
その時も今のようにわたしにすがり付いていた。
でも同じ高校に入ってからは、会いには来てくれるけどこうして抱きついてくることはなくなっていた。
『れーん、どうしたの?』
中学まではわたしの方が背が高かったのに、いつの間にか追い付かれた身長。
そしてぎゅっとわたしに回る腕の長さと力強さに内心どきりとしながらも、廉のふわふわな頭をゆっくり撫でる。
「………」
『廉?』
「…名前、は、おれ、のこ、と、……っきら、嫌いに、ひっく、なったりしな、いよっ、ね…っ…?」
『…当たり前でしょ。好きだよ、廉のこと』
「お、俺も、」
はぁぁ、と廉はわたしの肩口で弱くため息をついた。
廉は顔をあげて、わたしに真っ赤な目を向けた。
わたしの顔にゆっくり顔を近づけてきた廉に合わせるように、わたしは目を閉じた。
ドロドロに
甘やかしたいほど彼がすき
(廉、誰かに何か言われたの?)
(…えと、田島くんに、はっきりしない男は…嫌われるぞ、って…)
(田島のやつ…廉に余計なこと吹き込んで…)
(で、でも!田島くんのお陰で名前とき、キスできたから、…っ、なんというか、その…)
(………っ、廉、可愛すぎ)
(う、く、苦しい名前っ)
…………
三橋くんを甘やかし隊。
あのふわふわな頭に触り隊!
121020