螺旋の聖譚曲
□第九楽章 『赤い鳥は灰より蘇る』
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酷く冷たい闇のなかでルージュはそっと目を開けた。
上には光の筋が見えた。
だがあの光に戻れば悲しさや痛みが自分を襲う。
それを知っているルージュは上に行こうとはしなかった。
―――……ュ
だが今、微かに聞こえた声に強くルージュは惹かれた。
―――……ジュ
「…………誰……?」
――――ルージュ!!!
その呼び掛けに、ルージュはようやくはっきりと思い出した。
(………ヴォルフ…さ、ん…?)
そしてルージュは高らかに歌を歌い始めた。