螺旋の聖譚曲

□第八楽章 『雷撃は猫と翔る』
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「怪我してるんですか?」
「お義父さんが…降ってきた…瓦礫に…!」
「ロッド!手伝って!馬車の中にこの方を入れて!」

わかった、という声と共にロッドは出てきたが、少年に目を向けると顔を歪める。

「…アンナお姉ちゃん…」
「何しているの?早く!!」
「アンナ!!」

見ればヴォルフが手を止めていた。そしてロッドと同じタイミングで叫ぶ。

「そいつがルージュお姉ちゃんを拐ったんだ!!」
「その方がルージュを拐った犯人です!!」

え…?とアンナは振り返り二人の怪我人を見つめる。

拐った?こんなに小さな少年が?

「お願い…」

少年―――ヘンリーは涙を流して言った。

「僕はいいから…お義父さんを助けて…!!」
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