螺旋の聖譚曲
□第四楽章 『火葬曲は炎を纏って』
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「そうか、見つかったか!」
グレイシアは思わず声を上げた。
グレイシアの前には小さな子供がいた。
小麦色の髪と若々しい葉の色の瞳。
少年はグレイシアの忠実な僕だった。
道端で塵のように捨てられた彼を拾ったグレイシアを父
…否、救世主と考え少年はグレイシアに忠誠を尽くしていた。
「はい。しかと見ました。
あの目が覚めるような赤い髪は彼女で間違いありません。」
グレイシアは珍しくも指揮棒を離し、忠実な狗を撫でた。
「よくやったぞ…ヘンリー。」
少年――ヘンリーはその嬉しさに頬を綻ばす。
虚ろな硝子の瞳はグレイシアのみを明るく映していた。