螺旋の聖譚曲
□第零楽章 『とある街中のパレードにて』
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「さすがブレーメン一を誇る音楽士達ね!私思わず魅入ったわ!」
「だって皆さんかの『セント・クィスーム』出身の方々だろう?」
「しかも皆立派な音楽士達だ!」
「ああ僕にも資質があればなぁ!」
『セント・クィスーム』。それはその資質をもった者だけがそこに通う事ができる音楽士を育む唯一の学院だ。
『音楽士を育てる』。それは貴重な財産であるものを発掘するのと同じ事だった。
故に、『セント・クィスーム』はとても有名かつ憧れを抱く為に名門校となっていた。
『風の妖精(シルフィード)』のメンバーはどうやらその学院出身者が創設したらしい。
上流も下級も階級に関係なく街中を駆け回り、たった1日でその音楽士によるパレードで話は持ちきりになった。
パレードの演奏の感想から始まった彼らを讃える言葉はいつしか音楽士の出生もまた話題に上がるのだった。
そしてその人々の話を密かに女は聞くとさっと細い裏道へと消えた。
「…風の妖精(シルフィード)…」