螺旋の聖譚曲
□第四楽章 『火葬曲は炎を纏って』
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第四楽章 【火葬曲は炎を纏って】
(全く…)
ヴォルフは何度も窓を見てはため息をする。
アンナはそのため息に連なるように窓を見て肩をすくめた。
どこかしょんぼりとしたその雰囲気にルージュはぎこちなくお茶の準備をする。
ヴォルフはコリンの家にもう2日も滞在していた。
というのは運が悪いのか、それともヴォルフが雨に合いやすい体質なのか
どちらかはわからないが秋の気まぐれな激しい雨がここ2日も続いている為に、
彼らは出発できなかったのだ。
コリン達に申し訳ない気持ちと
早くブレーメンに行かなくてはと焦る気持ちとで
何時になくヴォルフは苛々としていた。
カタンと彼の前に紅茶を置くとルージュはアンナにもそれを置き、空いている席に座った。
ふと窓に黒い影が写った気がしたが、ここにいる三人は天気と旅の行方に思い詰め
それに誰一人、気がつく事はなかった。