螺旋の聖譚曲
□第八楽章 『雷撃は猫と翔る』
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グレイシアは微かに意識が戻った。
うっすらと目を開けると、そこは天井があった。
「……?」
と、そこにヘンリーが覗き込んできた。
「お義父さん…!」
顔には痣ができ、頬は腫れていた。
「ヘン…リー…どうしたのだ…その顔は…」
「僕が殴ったのさ。」
「私は蹴ったの。」
みれば双子が未だに怒りが収まっていないらしく苛々としてこちらを見下ろしていた。
「…目覚めました?」
さらに青年がグレイシアを覗き込んだ。
「…いつ見ても苛々しますね。ルージュによく似ている…」
顔を歪め、必死でそのバイオリンの弓を握りしめる。
「…ああ…」
そうか、彼らはルージュの何かなのだ。
「…お前達…は…?」
代わりにヘンリーが答える。
「僕がルージュを奪った先の人間
………それから」
「俺がルージュの兄フランベルジュだ。聞いたことあるだろ?グレイ叔父上…いや、グレイシア?」
ヘンリーによって身を起こされ見ればそこには自分達を何より嫌うブラウバルトの一族の者がいた。