螺旋の聖譚曲

□第七楽章 『堕ちる小鳥は闇と消え』
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第七楽章 『堕ちる小鳥は闇と消え』



大好きだった林檎を頬張りながら味気ないそれにルージュは呆然とする。

何も感じない。
何もわからない。

と、誰かが自分を呼んだ気がして。

ルージュは何故かはわからない涙を溢して答えた。

抑揚のない。感情を押し殺した声で。


そっと、ひそかに風にのせた。





円形に作られ、壁は螺旋状に飾り彫りがされている部屋で
北側には金管楽器、南側には弦楽器、
東側には打楽器、西側には木管楽器

と設置がされていた。
楽器をもつ人間は皆、表情を虚ろにして――もしくは狂気的に輝かせて――座っていた。


と、中央の一段高い台に男が立ち上がる。

嬉々とした表情で楽譜をもつグレイシアの傍らで、一人まだ眠っている濁った瞳をさせた少女が座っていた。

真っ黒なドレス、真っ黒なネイル
真っ黒なヘッドドレスに黒水晶のイヤリング。


そして漆黒に映える赤い髪。


そして指揮者は手をあげる。

音楽士達の狂気的な計画が今、実行されようとしていた。
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