家事とけんかは家族業 外伝
□末っ子はシンデレラ1
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「この3年2組ではシンデレラをすることになりました・・・」
若い女性である担任の北川先生の発表に クラスがいっきに騒ぎだした
みんな近くの席の人と思い思いのことを言い合っているが
真実はただボ−っとして
先生が黒板に役名を書いていくのを見つめていた
―舞台には上がりたくないなぁ
美術係とか 照明係がいいかな
それがだめなら 畑のかぼちゃの役か 木の役がいいな―
書かれた役をじっと見て
頭の中でそれをふるいにかけていく
まず ドレスを着なきゃいけない役は削除
普通 舞踏会でシンデレラと王子のバックで踊る役など
セリフはなく ある程度目立て しかもきれいなドレスを着れるので
女子なら選びそうなものだ
だが 真実は自分を飾ることが嫌いで
きれいなドレスよりもドロまみれの服のほうを選び
今までの学芸会でもずっと岩か木の役を進んでやっていた
そしてなによりも
女子らしい格好をするのが嫌なのだ
なぜ嫌なのか 真実自身もよくわかっていないが
ひとまず「アニキにバカにされるから」だと人には言い訳をしている
―シンデレラの友達のリスかネズミの役もいいな
あ でもセリフあるかな
わたし 演技なんてできないしなぁ―
そんなことを考えながら
どの役に手を挙げるか決めていく
なのに 黒板に文字を書き終えた先生は予想外のことを言った