家事とけんかは家族業 外伝

末っ子はシンデレラ3
1ページ/8ページ

土日でなんとかセリフを全て覚え
眠い目をこすりながら学校へ行った真実は
この日初めて絶望というものを味わった



おかしい

どんなシンデレラのお話を思い出しても
頭に浮かぶシンデレラは青色のドレスを着ている


しかし どうだろう


目の前にあるドレスは



・・・・・真っピンクやないか!!!


「これ
 お母さんがつくってくれたの」

小野さんはハニカミながら
鮮やかなピンクで しかもかわいいフリルのついたドレスを差し出す

「お母さんにね 真実ちゃんがシンデレラ役になったって言ったんだ
 真実ちゃん シンデレラ役頑張ってね!」

いつもおとなしい小野さんは控えめに笑う


真実はドレスを見つめたまま 何も言えない

きっと小野さんのお母さんは
両親がおらず 兄しかいないわたしを不憫に思ってくれたのだろう

それと小野さんは クラスの派手な女子が主役にならず
自分と同じような控えめな役しかやらないわたしが主役で嬉しいのかもしれない


確かに 衣装は各自で準備せねばならず
そのことを兄に言い忘れていたので
小野さんの厚意はとてもありがたい

だけど
ピンクにフリルって・・・・・

真実は震える手でうつむいたままドレスを持つ

なんでだろう
泣きそうだ

「・・・・・ありがとぅ・・・・・」

声まで震わせて 真実はなんとかお礼を言う



震えるほど喜んでくれた・・・

と その後小野さんは彼女のお母さんにそう伝え
2人とも勘違いしてしまうのである・・・ 
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ