家事とけんかは家族業

当日の朝
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大会当日
「試合に勝てますように」
という願いをこめて
朝っぱらからかつ丼を食べた

わたしはけっこう重かったのだが
兄たちは平気そうだった

この一週間
わたしは「夏兄たちが負けませんように」と
地道に祈り続け
今も少し緊張しているというのに
当の夏兄はまったく緊張した様子はない

「ナツ!」

玄関で威勢のいい声が響く
見に行くまでもない
ハルだ

「じゃ 行ってくる」

夏兄がラケットケースを担ぐ
すでにレギュラーのユニホームに着替えていて
その姿はどこか凛としていた

「おぉ!」
「行け!」
「勝ってこいよ!」

みんなが思い思いの激励を送る
わたしは気が利く言葉が思いつかず
フツーに 「行ってらっしゃい」と言った

夏兄を見送ろうと玄関まで行くと
案の定ユニホームを着たハルが待ち構えていた

「行ってらっしゃい」

すでに戸を開けて出て行こうとする二人に向かって手を振ると
二人とも振り返って
笑いながら「行ってきます」と手を振り返してくれた

そして 全国大会へと向かって行った

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