家事とけんかは家族業

優しい歌声
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開けたとたん
思わず「わっ」と声をあげてしまった

そこには 縁側に座り
ギターを抱えて
優しい顔で笑いながら自分を見つめている奏多兄がいた

「起こした?」

突然の質問に 状況がうまく把握できないわたしは黙って首を振った

「そっか
 なにつっ立ってんの
 ひとまず座りな」

いつもの優しい声でわたしを茶化す

「うん・・・」
と答え ひとまず懐中電灯のスイッチを切り
兄のとなりに座った

なぜこんなに明るいのだろうと思ったら
雲ひとつない
みごとな満月の夜だった

「おまえにも眠れないってことがあるのか」
まだ中学生だった奏多兄は黒髪で
声変わりしたばかりの声は今よりも少しだけ高かった

兄は視線をギターに戻し
ゆったりとしたメロディーを奏ではじめた
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