家事とけんかは家族業

わたし
1ページ/2ページ

わたしはいたって普通の中学生だ
変わっていることといえば 兄が7人いることだろうか
そして わたしたち家族は全員 血が繋がっていないことかもしれない

「なんでそんなことになったの?」と訊かれることがある
なんでも 血の繋がった兄と 繋がっていない兄とは 小さい頃からの親友だったらしい
それで わたしには兄以外家族がいなかったので 引き取ってくれたらしい

いや ひろってくれた と言ったほうがあたっているかもしれない
修正する

わたしは兄がキライだ
大っキライだ
何回けんかしたろうか
かなりである
この家に来てからずっと
当時4歳ぐらいのわたしにも手加減なしである

今思ったら 相当大人げない
力の差がありすぎである

もちろん 毎回負けた
なぐりあいはもちろん とにかく兄は口が悪い
なんであんなにも舌がまわるのだろうか
本当 めちゃくちゃ悔しかった
泣かされるほど言われるのである
今は絶対に泣かない
でも当時はボロ泣きだ

泣かされたという記憶はあっても どうしてけんかになったのか全然覚えていない
覚えているのは しっかり者の年上の兄がけんかをとめてくれたのと
年下の兄が泣いているわたしをうざったそうに見据える冷たい視線だけだ

あと けんかの記憶はとてもぼんやりとしているのに
唯一はっきりと覚えているけんかがある

それも けんかの原因は忘れてしまったけれど 泣いていたわたしのその声に 兄がブチ切れて 叫んだのだ

「泣けばなんでも許されるとおもってんじゃねぇ!!!」

とたん 涙がいっきに引いた

それまでは どんなに叫ばれても止まらなかった

止めようと思っても ポロポロあふれてきて 止めようがなかった


だけれど この言葉を聞いたとたん 涙が止まった

なにか冷たい 氷のようなもので 自分のもろいところを刺された気がした

小さいわたしの心に その冷たいものは 即座に浸透していった

それからわたしは 泣かなくなった
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ