よみもの

□正しい男男交際のすすめ
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サガとアイオロス、そして一輝は、仲良くテーブルに着いていた。



ここは人馬宮の地下のとある秘密の部屋。

人馬宮の地下にこのような場所があろうとはついぞ知らなかったサガは、自分の聖域における統括力に疑問を持たざるを得なかった。


頭の痛いサガを差し置き、アイオロスが颯爽とその場を仕切る。



「では、今から第48回全国可愛い弟を守る兄の会定期会合を行うぞっ」


「48回…お前ら、そんなに会合を重ねてるのか…?」


思いの外に多かったその回数に、サガはつい突っ込みを入れてしまう。
薄暗い地下で、アイオロスと一輝がこそこそ会合に励む姿は、非常にうそ寒いものがある。



「まあな!毎月23日は『兄さんの日』にちなんでの定期会合開催日だからな。その他にも、必要があれば緊急会合が開かれるぞ」

「そ、そうか…」

サガはげんなりと会の実態を把握した。


それにしても、そんな伝統ある(?)会合になぜ急に自分が召喚されるようになったのか、それが疑問であった。


「今回はサガという、新しい同志を迎えることができて光栄に思う。しかしここでまず、何故サガを緊急召集したのか、それを明らかにしなければならないだろう」

その言葉に一輝が深く頷いている。
サガもその点については興味があったので、耳を傾ける。



「今回、サガを同志として迎え入れることになったのは、そこにいる一輝の強い要望だった」

「一輝の?」

以外な発言にサガは驚いた。てっきり、アイオロスの新手の嫌がらせかと思っていたのだが…。


頷いた一輝が眉間にシワを寄せながら発言する。
相変わらず15才とは思えない渋さである。


「そうだ。俺がお前を同志として呼び寄せたのだ。何故なら、お前の弟が…」


メラッ!

「熱っ!何をやっとるんだお前は!」

興奮の余りつい小宇宙を燃やしてしまった一輝の周りは、真っ赤な炎に包まれる。燃え盛る炎と自分の世界に入ってしまった一輝に代わり、アイオロスが話を引き継ぐ。


「一輝に話をさせるのは酷だったかもしれないな…。よし、ここは私が説明しよう。お前にも深く関わる話だ。よく聞いてくれ」

アイオロスはどこか沈痛な面持ちである。
サガは何となく緊張し、目の前のティーカップを手に取り唇を湿した。



「お前の弟のカノンがな、どうやら瞬と付き合いだしたらしいんだ」


ぶーーーっ!!!


「うわっ、汚い!何するんだ!」

サガを非難するアイオロスの声は、もはやサガの耳には届いていなかった。
口から紅茶を垂らしながら、サガの目はすっかり座っている。



「すまん、少々席を外す。ちょっと、カノンを殺してくるから」

「ああ、俺も同行しよう」
一輝もすかさず席を立つ。



「まあ待て。落ち着けお前ら」

まさか自分が突っ込む側になるとは夢にも思わなかったアイオロスが、二人を諌める。


「あんの愚弟がっ!!とうとう瞬にまで手を出すとはっ!!」
「貴様の弟はロリコンか!?瞬はまだ13だぞ!絶対に俺は許さん!!」


ギャーギャー騒ぎ立てる二人にアイオロスは冷静に発言する。


「それ故に今回サガを召喚したのだろう?お互いの幸せを考え、弟達を正しく導いてやるために。それなのにお前達がそんなにうろたえてどうするんだ!」


今回はアイオリア絡みで無かっただけに、アイオロスは余裕である。持ち前のカリスマを遺憾無く発揮して二人を黙らせる。


サガと一輝はアイオロスの言葉にぐうの音も出ず、ガックリと椅子に座り込んだのだった。
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