よみもの(瞬受以外)

□We are drinking!
1ページ/6ページ


「うぉ〜、何だかこのメンバーだけっつのも久しぶりだな」



バーテンダーに酒を注文しながら、デスマスクは早速カウンターに腰掛ける。

「そうだな、三人だけで揃うのは以外と久しぶりだな。いつもは二人だったり、他の人間がいたり」

続いてシュラも椅子に腰掛ける。

「サガは仕事から手が離せんらしい。何だか悪いな、私達だけ遊んでいるようで」

本来は一緒に来るはずだったサガに気を使ったアフロディーテに、デスマスクが鼻を鳴らす。

「はっ、あいつは仕事が趣味なんだよ。大人は自分で仕事のオンとオフを調節できなきゃあな」

乾杯も待たず出された酒に口を付けるデスマスクに、シュラが澄まして言う。

「万年オフ人間が何を言う。お前は一体いつオンになるんだ?」



「そんな野暮なこと聞いちゃいけないぜ、シュラちゃんよ」

デスマスクの視線がシュラの頭を通り越す。視線を追うと、L字カウンターの向こう側に、妙齢の女性二人組が座っているのが見えた。デスマスクの視線に気がつくと、彼女達はこちらに愛想良く手を振った。

そんな彼女達に手を振り返すデスマスクを見て、シュラがため息を漏らす。

「お前は本来に節操がないなぁ。少しは真面目に女性と付き合ったらどうだ」

「何を言う、俺はいつでも至って真面目だ。二股かけたこともないんだぜ!」

「複数人の女性と関係を持つとき、実はその誰とも正式にお付き合いはしていない、という意味だろ、お前のは」

アフロディーテの冷静な突っ込みに、デスマスクは「鋭いな、お前」と爆笑している。このままだと水掛け論になるので、シュラはデスマスクの素行の追究については諦めることにした。



「そういえば付き合うと言えば。カノンと瞬は付き合い出したらしいな」

新しい話題を切り出したシュラに、アフロディーテは頷く。

「ああ。まだ付き合い始めでな、あの二人。初々しくて、見ていて微笑ましいよ」

何かを思い出したのか、クスと微笑んだ彼に、デスマスクは複雑な表情を向ける。

「初々しいカノン…。おえっ、考えるだけで気持ち悪ぃ〜!」

両肩を己の腕で抱いて身もだえるデスマスクをシュラが窘める。

「気持ち悪いは無いだろ。お前カノンと親しそうだったじゃないか。瞬と付き合う前にそういう話を聞いて無かったのか?」

「まあ、親しいっつーか、たまに飲みに行く程度?あいつといると女がガンガン寄ってくるからよ」

悪びれずに笑うデスマスクに、アフロディーテが釘を刺す。

「その話、瞬には絶対するなよ」

もし話したら…と彼はカウンターの上に活けてあった薔薇を一輪取り、デスマスクに向ける。それにデスマスクは思わず腰を浮かす。

「ちょっ、マジになんなよ!分かったって!絶対瞬には話しません!」

ようやく薔薇を引っ込めたアフロディーテに悪態をつきながら、デスマスクはガタガタと椅子を元の位置に戻す。


「だいたいさぁ、男は皆浮気の一つや二つは絶対にするもんだろ。それを許せないなんて、恋愛に夢見てるガキだけだぜ。カノンも何であんな面倒臭いガキと付き合うんだか。瞬ってだいたい何歳なんだよ」

確か13歳のはず、と生真面目に答えたシュラに、デスマスクは「半分以下の年齢か!重度のロリコンだな、あいつ」と失礼極まりない台詞を吐く。



「だが俺も聞いたときは正直以外だった。カノンが年下と付き合うなんてな」

シュラの台詞に、デスマスクが「お?」と言う顔をする。

「何が以外ってんだ?あいつと女を引っ掛けたときだって、年下の女はごまんといたぜ」

ニヤニヤと物言いたげに尋ねるデスマスクに、シュラが答える。

「あいつは年上が好みかと思ってたからな。何だかんだ言って、カノンは弟気質だろ。遊びならまだしも、本気で付き合うなら甘えられる年上がいいだろうと思ってた」

その言葉に、またしてもデスマスクは爆笑する。

「ギャハ、何でお前らそんなに鋭いんだよっ。お前一体カノンの何なんだ、シュラ!」

腹を抱えて息も絶え絶えのデスマスクに、シュラは「失礼な」と非難の目を向ける。

「でめまあ、確かにカノンには少し甘えたがりの所があるかな。サガも言っていた。昔から意地を張るけど、本当は甘えたくてしかたない態度が丸見えで可愛いって」

アフロディーテもふふ、と笑う。

「陰でこんなに言われてちゃ、普段カッコつけてるあいつも形無しだよな」

今頃どっかでくしゃみでもしてるかも、という発言に、堅物のシュラも思わず吹き出した。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ