ペダルSS

□短いお話
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知りませんからねっと坂道が頬をぷくっと膨らます。
「薄情者~」
そう言いながら荒北のお腹にぐりぐりーっと顔を押しつける
「もう、荒北さん…」
「ごめん、ごめんって」
ほら小野田チャン、と顔をあげさせると坂道は涙で顔を濡らしていた。
「数あわせで呼ばれただけだかんな?」
そう、荒北は所謂合コンに行ってきたのである。
「僕、聞いてません」
エグエグと泣く坂道の頭を撫でながら体を引き寄せ後ろから抱きつく。
「オレが愛してんのは小野田チャンだけだから」
ちゅっちゅとつむじにキスを落とす。
「す、好きな人は僕だけじゃないんですかぁ?」
卑屈になる坂道に困ったように笑い
「好きなのも愛してるのも欲情すんのも小野田チャンだけだけど?」
ン?と更に抱きついて坂道の頬に自分の頬を押し当てる。
「ほんとですか?」
真っ赤な目が可哀想な坂道が荒北の手をぎゅっと握る。
「おう、誓って小野田チャンだけ」
坂道が振り返り一瞬キスをする。
「もう行かないで下さいね」
へにゃりと下がり眉で泣き笑いしている坂道に荒北は、もう二度と行くものかと誓った。

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