ペダルSS

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同じ大学に進んだ二人はいわゆるほもっぷるというやつになってしまった。

講義も授業も体育だって一緒のひっつき虫なのだ。

これには周りの生徒もビックリするかと思いきや、騒がれたのはほんの1週間程度。
意外にもすんなり受け入れてもらい二人の方が拍子抜けしたほどだ。

それは荒北がイケメンというやつで坂道が気弱な線の細い女の子のような外見だったからかもしれない。
そして二人はどこか周りとは違う雰囲気をもっていた。
それが男同士だからなのかもしれないし、元々のものなのかもしれない。

身長には恵まれなかった坂道に対し、ぐんと目立つスタイルの荒北。
今時珍しい黒髪短髪で小さいのと大きいのが手をつなぎ歩いている様は非常に愛らしい。
大きいほうはまるで狼のようでどこかひとを寄せ付けない雰囲気。
小さなほうは人懐っこく、でも弱腰であった。

高校時代の友人はというと、やはりな、と言ったかんじで二人を見ていた。
大体察しはつくというか、坂道が巻島の留学の際酷く落ち込みそれを影で支えたのが荒北であった。

もともと仲の宜しかった二人は自然付き合うことになった。

「荒北さん、僕ここの大学にしようと思うんです」

「あァ?」

「ちょっと賢いとこじゃねェの?」

「荒北さん、着いてきてくれます?」

うふふ、と冗談まじりで言った一言に荒北はふたつへんじで答えた。

まさかそれが本当になるとは。



「坂道くぅん!」
キャンバスライフを送る坂道に巻髪のいまどき風の女の子が声をかけてくる。
「あ、あああひゃいっ、なななななんでしょう」
「ほらーすっごいかわいいでしょ!小動物みたい!」
友人と思われる子に話していた。

「荒北くんの彼女なんでしょー?」

彼女・・・?
「か、彼女というか、あの、付き合ってます」

「なんだ〜荒北くん恋人いるんだぁ」
友人と思われる子があちゃーと言った感じで落ち込む。

やはり荒北はモテるのだ。

「でもしょうがないよね!こんな可愛い子じゃ〜」
「だね〜」

かぁぁっと頬が赤くなる。
可愛い?自分が?
どう考えても目の前にいる二人の女の子のほうがスラリとしてい今時で可愛いのだ。
というか女の子なのだ。

「じゃあね〜ありがと〜」

色々一人で考えているうちに女の子たちは行ってしまった。

「なァに浮気してんの?」
ぐいっと腕が伸びてくる。
大きな胸にぽすっと小さな坂道が埋まる。

「う、浮気なんてしてません///」
「冗談だヨ」

「可愛いらしぃナ」
ニヤニヤと荒北が腰に腕を回してくる。
「なっ聞いてたんですか!」

「俺の小野田チャンだからな」

人目もはばからずにいちゃいちゃとする二人を回りはとくに気にせず普通にしている。

「小野田チャンロードに乗ってないとマジ小動物みたいだもんな、別人」

ベンチに座り坂道の頭にあごを乗せながら手は相変わらずお腹のあたりで坂道の手を握っている。
「ちょ、ちょっと恥ずかしいです」

「んァ?」

「いぃんだよ。小野田チャンは気にすんなって」

「あ、講義の時間です」

「行きましょう!」

にこっと笑い後ろから覆いかぶさっている荒北の顔を覗き込む。

「!!!!」

「犯罪ダロ」

荒北は片手で口元を抑え、片手で坂道の手を握り立ち上がった。

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