ペダルSS

□だって貴方が悪いじゃないですか
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※パラレルです

「荒北さん、ご飯出来ましたよ〜」

「きゃっ」

ぎゅむむ、とソファから筋張った長い手が呼びにきた坂道を抱く。

「ナァニ、処女みたいな声だしてんノ?」
嫌味なしゃべり方にもニコニコして夕飯のハンバーグを並べる。
今日の夕飯は荒北の好物のハンバーグだ。
きちんと国産の肉を使いサラダにも気を配った
メニューである。

「いつまでもソファでごろごろしてたら牛さんになっちゃいますよぉ」

ぷくっと頬を膨らませ、横に座る坂道に荒北はキスをする。キスというよりまるで噛み付くように。

「ぷ、はっ・・・」
頬を染めてしどろもどろな坂道に荒北は満足そうに夕飯をぱくついた。

もぐもぐと咀嚼する坂道を他所にちゃちゃっと食べ終わった荒北は坂道にちょっかいをかけるが、「ほっぺにソースついてますよ」とニコリと笑い返されてしまった。

坂道も内心はドキドキしっぱなしであったのだがそれとなく悟られないようについてもいない
ソースを人差し指に取るまねをしていたのだ。


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「現行犯逮捕で荒北靖人、12:23、身柄確保」

それは突然のことだった。
これまた坂道お手製の昼飯を平らげ組の頭から預かった銃をうっかり落としてしまい、坂道に見つかってしまったのだ。
そう、荒北はヤのつく職業で、その構成員をやっている。
そして、なんと坂道は警察官だったのだ。

「あぁ、本当はもっとたくさん一緒にいたかったんですが・・・」

「小野田チャン、騙してたっつーワケ?」
なにがなにだか分からない荒北は困惑と裏切られたことでいっぱいいっぱいだった。華奢な坂道の両手は力強く荒北を抑え付けカチャリとお縄をかけた。
「ちゃんとお努め果たして、また一緒に暮らそうね」
「僕、ちゃんと待ってます、待ってますから」
「小野田チャ・・・」
荒北は涙でぐしゃぐしゃだった

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