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□おやすみ
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ひとり、ツナは獄寺のベッドで目覚めた。
情事のあとの下半身の違和感を感じつつ、獄寺がいないかとぐるりと見渡す。
あまりに静かで、空気清浄機の音だけがしんと静まり返った室内に響いていた。

「獄寺くん…?」
暗闇の中を慎重に壁伝いに歩き、リビングを覗く…と、ツナの愛しい人は窮屈にもソファで横になっていた。
「…もうっ」
浅く規則正しい寝息をたてる、形のいい唇に目をやると、少し半開きで白い歯が零れ見えていた。
夜空の光にぼんやりと照らされる彼は、ツナの気持ちをいっそう駆り立てる程に綺麗だった。
ツナはその伏せた瞼の瞳が綺麗な飴玉のような色で、泣くと蜂蜜がとろけるような色になることも知っている。笑うときは優しく微笑みかけてくれることも。

でも今は違う。
銀色の睫が儚げで、スヤスヤと寝息をたてる彼はとても綺麗だった。
「きれい…」
端正な輪郭を撫で、ぽつりと呟き、この綺麗な人物が先程まで自分に愛の言葉を紡ぎ、身体を貪っていた相手とは思えなかった。

「…ん、あれ…」
結構な時間見入っていたのか、獄寺が気配に目を覚ましてしまう。
(ああっもっと見たかったのに…)
少し残念さを覚えながら、獄寺にもたれかかる。
「…一緒に寝てよ…」
「10、代目」
獄寺が暗闇の中困ったように笑うのが分かった。
いつも学校がお休みの土曜日に泊まり、日曜日までイチャイチャするのがなんとなく2人の間のお約束になっていた。
月曜日にツナの疲れを残さないために、シングルベッドをツナに、自分はソファに、獄寺はそう決めていたのだ
「ね、狭くても大丈夫だよ」
ツナの指先が獄寺のサラサラとした髪を撫でる。
至極甘い声で、おねだりのように。
「駄目です…10代目はお疲れなんですから」
何故そんなにしつこく嫌がるのかツナには分からなかった。
「今日だけでも…お願い…」
ちぅ、と額にキスをする。
「じゅう、だい、め」
少し照れた様子の獄寺はそれでもソファから動こうとしない。
「ばかっ!」
ただ2人で一緒に寝て、朝を迎えたいだけなのに、あまりに意固地な態度の獄寺にツナは業を煮やしたかのように着ていたTシャツを脱いでしまう。

「え、ええっ?!!」
突然のことに驚く獄寺を尻目に、獄寺の部屋着をめくり下腹部にキスを何度もする。
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