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□離れ離れ
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笑ったときのことを考えると楽しくなるし、泣いたときのことを考えると悲しくもなる。君といた時間を思い返すと。

白い天涯の大きなベッドにまるで沈み込むように1人ツナはいた。
「な、に…」
顔が冷たく濡れていた。
悲しい夢でも見たのか泣きながら目覚めたのだ。

高校を卒業して、獄寺とツナは離され、別々の場所で教育を受けることになった。それは二人ともが一番望まなかったことで、青天の霹靂で、絶望だった。最後の最後まで繋いだ手を、見つめる目を離さず、今はツナはボンゴレの屋敷に、獄寺はボンゴレの管轄するエリアを任されツナとは会うことの許されない生活をしている。

もう離れて一年、ツナは大きな屋敷のたくさんの大人に囲まれマフィアのボスとしての教育を受けている。
覚えることは膨大で、学校の勉強にもついていけなかったツナは四苦八苦していた。今までそばで支えていてくれた、獄寺という存在がどれだけツナにとって大切なのか色々な面で実感するのだ。

一年も離れ、獄寺の存在が薄まったかといえばそれは逆で、愛しかった日々を心で反芻し、日に日に思いは募るばかりである。

君は俺の知らないときを大人になっていくんだ。

ツナは焦っていた。
恐れているとも言えただろう。
「愛してます」
そう毎日のように聞かされた言葉も包容力のある腕も今の自分には向けられようがないのだ。
どこにいるのかも、何をしているのかも分からない。

「好きだよ」
そう下を向いて呟くツナの濡れた頬に、また一滴涙がこぼれてしまう。

「愛してる」

窓の外が明るくなり、屋敷の者達も起き始めたようだ。
ツナものそり、と大きすぎるベッドから起き出し、洗面台へ向かった。

身支度を整えた頃合いに、家庭教師であるリボーンがやってくる。

「今日は一段としみったれた面してんな」

ニヤリと嫌みな笑みを浮かべ、身長の伸びた身体をドアによりかける。

「…獄寺くんを返してくれたら毎日笑顔だよ」
嫌みには嫌みを。無理矢理ににこりと笑って見せた。この数年で身につけた処世術だ。

だけれどツナの目は赤いままだった。

「今日の授業は昼からだ、遅刻するなよ」

それだけを言ってリボーンはさっさと部屋を出てしまった。
彼なりの心遣い…とでも解釈すればツナの心象も良いのだけれど、本当にただ昼からなだけだろう。きっと彼に心遣いなどというものはないのだから。
そしてツナはまた1人には広すぎるこの部屋に
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