SS

□クリスマス
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そろそろ冬の気配を見せ始めた並森の商店街を2人はあてどもなくプラプラと歩いていた。
「10代目、足疲れませんか?」
ニコリと気遣いの言葉をかけるのが獄寺隼人。
「大丈夫だよ、オレそんなヘナチョコじゃないよ〜」
へにゃりと眉尻を下げ笑うのが沢田綱吉。
学校が開校記念のため休みだった2人はお互い待ち合わせをしていたわけでもなく、いつものように獄寺がツナの家にきたのでなんとなく商店街にきたのだ。
「うちはチビが五月蝿いもんね〜」
「そっすね、アホ牛はやっちまってもいいんですけどね☆」
ツナの家には居候と呼ぶべきなのか、マフィア関連の子ども達がいてとてもにぎやかなのだ。その賑やかさがときに良いこともあるのだけれど、やはり2人きりになりたいときもある。
なにせ獄寺とツナはお互いに好きあい、付き合っているのだ。
「あっ…」
はた、とツナは雑貨屋の前に立ち止まる。
「綺麗だね」
なにかと見やればクリスマスツリーのスノードームがちょこりと店の出窓に鎮座していた。
キラキラと雪を模したものが舞い上がっては降り積もり、まるで冬の景色の煌びやかさを全て詰め込んだようである。
「そういえばもうちょいでクリスマスっすね〜」
なにかと忙しく学生とマフィアをしている2人はとんと世間の浮かれ具合から離れていた。
でも、そんな2人もクリスマスという響きにはやはりウキウキとしたものを感じて恋人と過ごせることを当然願った。

今年は2人で静かに…

そう願う2人の去年のクリスマスは散々なものだったのだ。

友人からの誘いやチビ達からのおねだりも全て押しのけて獄寺の自宅で2人きり、さぁイチャイチャするぞ!というそのとき、目の前に邪魔をしにきたビアンキとリボーンが現れ結局全てが台無しになってしまったのだった。
腹痛で倒れ込んだ獄寺の看病で2人のクリスマスは終わっていった。

嗚呼今年こそ…互いに決意を固めたのだった。
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