SS

□ラテ
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二月も半ばの夕方、もうすぐ春だというのにまだまだ寒い風が吹くなか、獄寺とツナは歩いていた。

亀の歩みのようにポツリポツリと俯き、でも互いに繋ぎあった手だけは暖かかった。
少しでも、少しでも…温もりをわけあいたかった。


ツナの住む家まで送り届けるのが獄寺が獄寺の中で勝手に決めた決めごとで、ツナもそれを当たり前としている。
いつもなら楽しく、ほぼ獄寺が10代目の素晴らしさトーク等繰り広げながら、苦笑いもありつつも足取りは軽いものであった。


それが今日は、二人はまるで濡れ鼠のような憐れさを含んだ様子に見えるのだ。

「獄寺くん、大丈夫だよ」

苦笑いのような、それでいて出来るだけ優しい声色だった。

「はい…大丈夫……10代目は、大丈夫」

小さく自分に唱えるように呟く恋人の冷えた手をきゅっと強く握りしめることしかツナには出来なかった。
精一杯だった。


ツナが一週間後にイタリアに渡る。

ソレを告げられ、二人はまるで自分たちを包む世界が全く変わってしまうかのような衝撃だった。

ツナの側に獄寺がいない

獄寺の側にもツナはいない
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