堕ちた夢に囚われ動けない
□Buio infinito del nucleare
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Song of the XXVII Buio infinito del nucleare −無限の闇の核−
それは気持ちの悪い風
とても湿っていた
「気持ち悪い…」
「…それよりも先へ行くぞ。核があるかもしれないからな」
二人の過去を胸に留めながら先へ進む
そんなことが過去にあったなんて…
小さなものが集えば
それは時に無限となる
足を一歩進めるごとに魔力が強くなっていくのがわかる
体中に強い魔力が流れ込んできて気分が悪い
こっちの方角に核があるのは分かるけれど一向にそんなものは見えない
もともと暗い空間だからかもしれないけれど上を見上げれば僕の頭上をたくさんの色の光が目の前に向かって進んで消えていく
それが核の場所をはっきりと示している
「冷たい…」
風が冷たくなって肌に刺さる
痛い
風に針でもあるのだろうか
「ねぇ…光が…ない…」
チェシャが指した方向には光がない
入ってくる光も吸収されているように徐々に消えてなくなっている
「くそっ…どれだけ強力なんだよ…」
「それが夢の跡地の正体だよね」
「二人は大丈夫なの?」
「それは分からん。核の元に行けば分かるかもしれない」
こんな強力な闇の中にいるなんて大丈夫なのだろうか?
離れていてもこんなに辛いのに…
「もしかしてブラックホールみたいになっていたりして…」
「ぶらっくほーる?」
「宇宙にあって、重力が強すぎて光さえも脱出できない空間のこと」
「?」
やっぱり説明するのは難しい
「下手したら死ぬな」
「…気をつけろ…いつ俺らの魔力を奪って襲ってくるかも分からない…」
足を進めるごとに息苦しい
核の中など僕らが生きていられる場所ではないはず…
そのときだった
『みんな…』
どこからか聞こえてきたのは聞きなれた声だった