Here you are!

□Naked
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千秋楽、舞台初日と同じ様に朝一番で翔くんからメールが来た。


長い片想いの末と一言で表すのは非常に簡単すぎる。切なく苦しい長い夜の先が、こんなに暖かく明るく美しいなんて…
思ってもみなかった。

翔くんがオレを気にかけてくれる。その気にかけてる気持ちを隠す事無くオレに見せてくれる。

それだけでスーパーマンにでもなったかの様に無敵になれる自分がいる。

愛しさは溢れて留まらない…

あの人の深い愛と想いがオレに向かってる…それが分かるだけでも幸せだ…と思わせてもらえる…翔くんの存在自体オレには奇跡だと思う。


千秋楽…

五年のブランクがある舞台での芝居は、ドラマや映画とは違う、果てしない緊張との戦いだ。この生の感覚は、やり直しの利かないプレッシャーと、毎日変わる観客の温度…やり易い日やり難い日、イレギュラーの展開への対応力…
肉体的にも精神的にもハードだったけど、やり甲斐はあった。

そして…五年前とは明らかに違って…
オレの無敵の活力源が傍に居てくれた。
気にかけて、見守ってくれた。
ティートリーオイルの吸入機、アイバチャンのど飴は会う度山程手渡され、五年前喉を枯らし悔しい想いをしたオレを事細かに気遣ってくれた。
開幕早々観劇に来てくれた翔くんの差し入れがオロナミンC だったのと、舞台上でオレが飲んだのがオロナミンC で同じだったのは、本当に偶然だったのだけど…

あの人の、穏やかで優しく上品な微笑みが傍でオレに向けられていただけで…明らかに五年前とは違っていた。

自分で言ったらバカなのだろうけど…
やり切った感はある。
完全燃焼。
未熟ながら、出し切れた。
そう感じている…
蜷川さんに声を掛けてもらい、ボクシングと言う新しい壁に正面からぶつかって、肉体改造も含め…キツいながらも楽しめたのは支えて貰えたお陰だと思う。

ありがとう。
翔くんありがとう。

嵐のメンバー含めマネージャースタッフ…感謝の思いで、最後の舞台、最高の舞台を終えられた。


一つやり遂げれば、無論オレのベクトルは一気に大切な人に向く…一分でも一秒でも早く、会いに行きたい抱きしめたい…舞台への情熱は一気に翔くんへと傾く訳で…

ジレンマ…

社会人として、人付き合いってのがどんだけ大切か、この業界、それが全ての所がある…
どんなにオレのベクトルが翔くんへと向いていても…駆け出して行けないもどかしさ…

分かってる、翔くんも、オレも。
何を一番に重要視しなければいけないか。

だから翔くんは風邪を引いて熱があってもオレに弱音を吐かなかった。
あの日、翔くんが8度の熱を出しながら挑んだ収録は、司会進行も決して手を抜かず、不意に襲った目眩を咄嗟に隠そうと、オレに寄りかかったけど…
客席からは軽く声が上がってしまった…

支えたこっちも驚いたけど…
あの日の翔くんは珍しく一杯一杯だった。

そうまでして戦わなきゃいけない、シビアで厳しい世界にいるんだ。

分かってる…

待ってて…翔くん…明日には会いに行くから。

美味しい物、一緒に食べよう!
まぁ、酒もそこそこ…
とにかくキスして抱きしめて、そのきめ細かい白く美しい肌を撫でて、キスして…

…あっ!………あの人…絶対一人エッチしてないよな…
明日会えたとしても挿入は…無理そうだな…

オレは大きくため息を吐いた。

挿入だけが愛情表現じゃない。
ドラマも終盤、無理はしたくない…翔くんがどんなに煽って来ても理性を保って挑まないと…

またため息が溢れた。

クッソー!
あー!
何もかも放っぽり出して、あの人の所に行きたい!身ぐるみ剥いでは白い肌のあちこちにキスして赤や青の鬱血したオレの印を刻み付けてやりたい!
嫌がったって翔くんのアソコやその奥の蕾を舌で舐めて、指と舌、唇でドロドロにしてやるのに!

大きな可愛い瞳を涙で濡らす位奥まで攻めて何度も衝き上げては引き下げて、あの人の上品で色っぽい口許を快楽で歪めては甘く低い掠れた声で哭かしてやるのに…!

あーーー!
堪えられない!!

一年間頑張ったオレへのご褒美は翔くんのエロくてセクシーな身体だ!
一年間共に戦った戦友との打ち上げなんてクソ喰らえ!
我慢も限界、爆発しそうなオレの欲望、熱く熟れた身体は全てを吐き出してしまいたいと疼いている…
すっ飛んでって執事のメガネを外しながら蝶ネクタイを緩めて押し倒したい!


今にもヒステリックに叫び暴れたい衝動を必死で押さえオレは頭を左右に振った。


「はぁー…可笑しくなりそう…頭ん中…エロい翔くんしかいない…」


あと少し…
翔くんも頑張ってる…

オレは歯を喰い縛って煩悩を追いやった…
あと少し…芸能人の松本潤を演じ切る為に。


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