Here you are!

□Touch Me Now
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ドラマの撮影の合間、別の仕事のスチール撮影に行ったら、先に松潤がメイクをしていた。

どうやら、比較的余裕のある相葉くんとニノが一番先にメイクを終え既に撮影中らしいが、次に余裕があるオレと松潤、最後に映画の番宣で多忙な智くんが撮影に入る事になっている様だ。

専属のメイクさんにメイクされながら何やら松潤は料理についてメイクさんと話し込んでいた。


「やっぱり冬って言ったら大根かな〜でも、灰汁抜きの仕方知らなくってさ〜」


「ああ、大根の灰汁はね、米糠で取るのよ」


ジャニーズ専属のメイクさん、料理通のそのメイクさんに松潤は良く料理のレシピを教わったりしている…


「無洗米で米の磨ぎ汁とかなければご飯でも良いそうよ?ふろふき大根?熱燗でキューッてのも良いわね〜」


「だけどボジョレー買ってあるんだよね、まぁボジョレーなんてお祭りみたいなもんだけどさ、大根っつったら和食しか思いつかなくて」


「なら、洋風おでんにでもすれば?何も大根じゃなくても、ロールキャベツとか、そう言えばテレビで作ってたじゃない」


「作った!けどセロリ入ってんだよね〜大根の洋風おでんか、ロールキャベツ…」


考え込んで悩む松潤にメイクさんはすかさず問いただした…。


「それ…まさか一人で食べないわよね?」


「えっ?ふふふ〜内緒〜舞台終わるまで指折り数えてんのオレ!酒も我慢してるし!」


「嫌だね〜そのノロケ!」


絶対一人で食べるとは思われていないだろうな…当たり前だ、仮にも日本一のアイドルグループ、嵐のビジュアル担当…相手がいてこその手料理なのだから…だがまさかその相手がここにいるとは思うまい…だがまさかその相手が男だとは思うまい!


「松本くんの場合さ〜趣味なの?料理、それとも本当に相手が何も出来ないの?」


「だから〜…ここだけの話…本当に何も出来ないの…」


耳が痛い会話が続いておりますが…
そう言う会話には出来るだけ自分からは入り込まない様にオレはしている。下手に言い訳めいて悟られるのは避けたいし何より30過ぎた女性の勘ってのは鋭いにも程がある…
話をフラれるまで待つ…これがオレのスタンス…なのだけど…


「うわ!相手の子…天下の松本潤に料理させるってスゴい度胸!ねぇ!櫻井くん!」



ソコで振るか?ソコで!!


「ねぇ…でも松潤も料理やりたいんでしょ?」


「いや〜でも一度で良いから相手の手料理食ってみたいっすけど…」


と鏡越しに視線を送ってくる松潤はあの涼しげな目元を上目遣いで見つめてはメイクさんに気づかれないように微笑んだ。


「でもやってあげたい気持ちのが強いかな!ダメだね、オレベタ惚れだ!」


と言ってオレから視線を外しメイクさんに向かって微笑む松潤は明らかにこの状況を楽しんでいるように見えた。
ベタ惚れね…耳たぶが赤くなりそうだ…


「結局ノロケじゃない!」


メイクさんは松潤の肩を軽く叩いた。メイクの終了も意味するその動作に松潤はくしゃっと笑って「ありがとう」と言いながら鏡台から離れた。

次にメイクさんはオレの方へ歩いてきてベースメークを始める、その横で松潤は長椅子に座って携帯を弄っている。


「櫻井くんは全然出来ないんでしょ?料理。やってくれる人とかいないの?」


そのまま料理の話が続いている事に居心地の悪さを感じずにおれない…


「い…いない…っすね〜」


「えっ?翔さん作ってくれる人いないの?ウッソだ〜翔さんなら選り取りみどり…今日はフレンチ明日は和食、明後日はイタリアン、じゃないの?」


「やだぁ〜何その多国籍!!」


メイクさんまで面白がって笑った。


確かに…多国籍な顔をしておりますが…適当な事言うな!この多国籍顔め!


「オレにそんなバイタリティ無い…ドラマの撮影ごときで風邪引いちゃうくらいだもん…」


と、少し情けなさを装ってメイクさんに微笑んだ。
メイクさんも「ああ、らしいわね、もう元気そうで安心したけど」と言って次にヘアワックスを何種類か手のひらで混ぜてからオレの髪に優しくのせた。


「翔さんはハード過ぎんだよ、休みの日もピアノやら英会話やら…確かに続けないと不安なのは分かるけど…」


「自分の休み位自由にします。」


「まぁまぁ、動いてないと死んじゃう人種もいるから」


「鮪かっつーんだよ」


「その例え良いな!今度智くんにオレは鮪だ!泳いでないと死んでしまう!って言ってみよ」


「んだよ…それ…」


多少の苛立ちを見せる松潤の…心配が見える荒っぽい口調…コイツの可愛さ真骨頂!とか思ってるオレも概ねバカだよ、本当に。


「はい、ご苦労様。スタッフが呼びに来るそうだから、ここにいてね、私大野くん来るまで一度スタジオ見に行ってくるわね」


そう言い残してメイクさんは控え室を出ていった。

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