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□LIFE
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「翔ちゃんまた痩せた?」


グループ全員集合の雑誌の取材、各々個別のスチール撮影の合間、突然隣に座るニノに声をかけられた。


「あっ、分かります?さすが二宮さん、名探偵」


オレは右手で自分の顎と頬を撫でた。
ほぼ毎日会ってるのに、こういう事に気づくニノの洞察力に感服する。


「だって顎がさ、尖ってんもん、翔ちゃんすぐ顔に出るよね、太っても、頬っぺ膨らむの分かり易い」


「それは…あんま嬉しくないな…」


「ドラマに向けて?意識的に痩せてんの?」


「うーん…どっちかっつーとあのボクサーに付き合ってたら自然と痩せたって感じ?」


オレはカメラの前で次々とポーズを決めながら写真に撮られているオレの恋人を親指で指した。
秋色のジャケットが柔らかさと暖かみを醸し出し、とてもアイツに似合ってるって思いながら眺めた。



「ストイックJ !! 」


「そう、ストイック…アイツ今回の舞台きまったら、早い内から炭水化物抜いて、マジボクサーみたい…少し締まって…所々筋肉ついてきたよ、分かんない?」


「へー、残念ですが、J は着痩せするから、脱がせないと分かりません…脱がせていい?」


「ダメ!!ダメにきまってんだろ!」


ニノは残念そうにテーブルに並べられた煎餅に手を伸ばした。

ニノは危険だ。
頭の回転が早いから、気をつけないと時々言葉巧みに言いくるめられてしまう。
松潤と寝てた…時期もあって…メンバー内で唯一オレだけとは寝ていない…って事になるんだけど…


「あっ、潤くん神カル見に行ったって?言ってたよ?」


「え?マジ?まだ聞いてないな〜」


そう言って、また松潤に目をやる…
いつも…の事なんだけど、集まって仕事の時は無意識にアイツに目がいってしまう…
あんま周りにバレないように気をつけないと…普通にずっと目で追っちゃうから…


「そんなに好き?」


「あ?」


ニノの呆れた声はまだ続く。


「潤くんに穴空くよ?そんな見つめたら…」


オレは再びニノの顔を見る、出きるだけポーカーフェイスを装って。


「穴が空いたら、少しは目で追わなくなるかな」


「翔ちゃん…アンタ完全骨抜きだわ、前は絶対そんな事言わなかったのに…」


「牽制球投げてんの、二宮さんにはね」


余計なちょっかい出すなよって。
相葉くんや大野さんには絶対言わないけど…結構ニノには言いたい事が言えるのは…ニノが自分と似ている所があるせいかな…


「はいはい、ご馳走さまです」


オレとニノはスタジオ横のテーブルに座り自分たちの出番を待っているのだけど、撮影を終えた相葉くんと大野さんは別のテーブルでインタビューに答えていた。


「そー言う二宮さんはどーすんの?」


「どーって?」


「あの二人、両天秤にかけて、良くケンカにならないよ」


ニノは早い段階から相葉くんと付き合っていた。
まあJr.の時からいっつもつるんでたし、相葉くんの一直線さは本当に分かり易かった。

ただ…ニノは…貞操観念にやや難有り…
これは育ってきた環境もあるんだろうけど…とても寂しがりで1人じゃ眠れない、人肌恋しくなる…らしく…
寂しがりなのは相葉くんも変わらないんだけど…


「大野さんとは大分寝てないです…どうやら振られたみたい…」


動じる事なく爆弾発言をする。


「えっ…?嘘…それで良いの?」


「良く無いです…でも大野さん多分他に好きな人がいるんだと…ワタシと寝ながら…別の誰か思ってる…そんな気してたから…」


「うわ…ごめん…遠慮無しに…」


「大丈夫、あんまね、ショックじゃないんだ…大野さんの想いは届かないって分かってるから。」


ほら…シラッと腹黒ニノが顔を出す…
実はこんな時一番自分に似てるって思ってしまうんだけど…

オレは無意識に松潤を見た。
最近本当に柔らかい笑顔を見せる様になった。
その甘い笑顔は…昔オレにくっついてまわってた頃の可愛い松潤を思い出させる。
笑顔の宝石箱…
生まれながらのスター…って言う位松潤はやっぱり人目を引いたし、可愛かった…
その上人懐っこい笑顔を見せられれば…誰もが魅了された…


「潤くん…最近堪んない笑顔するね…」


同じ松潤の笑顔の事をニノも考えていた事に驚きながら…松潤の姿から目が離せない…


「翔ちゃんのお影だよ、潤くん…やっと…らしくなったって感じ」


「オレ?オレ別に…」


何もしていないし、何も言ってない。
松潤自身が成長して柔らかくなった…それが嬉しくて可愛くて仕方がないんだけど…


「んにゃ…愛の力は偉大だよ」


とニノが小さく呟いたと同時にカメラマンが「松本さんご苦労様です!次二宮さんお願いします!」と大きな声で言った。

ニノは「はあーい」といつもの少し怠そうで、でも張りのある声で返事をしてパイプ椅子から立ち上がった。

代わりに松潤が緩く歩きながらオレの座るテーブルに向かって歩いてきた。
パチンと軽くニノとハイタッチをして、いままでニノが座ってたパイプ椅子に腰かけた。



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