Here you are!
□T.A.B.O.O
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Second day.
「松潤が…いなくなった…」
5人で打ち合わせの予定だった今日、事務所は騒然としていた。
「な…何?リーダー…どういう事?」
打ち合わせ予定の会議室、一人メンバーの欠けた顔を見合わせながら、オイラは相葉ちゃんの質問に答える。
「今朝迎えに行ったマネージャーが、携帯鳴らしても出てこないから部屋に入ったら、携帯電話も、昨日着ていた服も、カバンでさえ見つからなかったって…」
「それでこんなにバタバタしてんの?」
翔くんが訝しげに、でも、冷静に言った。
オイラは「うん…」とだけ小さく返事をした。
「ねぇ、それって事件性があるの?警察には届けた?」
ニノが心配そうに眉根を寄せて言う。
「さっぱり、分からないから…それも今検討しているみたい。警察に言うとマスコミにバレるし…上はかなり焦ってる様だったけど…」
事務所に一番乗りしたオイラは、着くなりチーフマネージャーにこの事実を告げられた。
最近の松潤に変わったら事はなかったか?心当たりはないか?
例えば、お付き合いしている女性の存在…とか…
オイラは愕然とした。
松潤は、芸能人と飲んだ話はするけれど、付き合ってる女性の話とか、一般人の友人の話はほとんどしない。
こっちから聞けば教えてくれたのかもしれないけど、特に会話の中で上がる事の無い話題だったから、オイラは松潤の交遊関係がさっぱり分からなかった。
よって、チーフマネージャーの質問には、一つも答えられなかったのだ。
ただ…
「最近の潤くん、取っ付きにくかったよね?絡み辛くて、ちょっと怖かった…」
気がかりな事実をニノが口にした。
「近寄れない時あったもんね」
相葉ちゃんも同意する。
そう…時々怖い位冷めてる時があって……
いつかプツンと糸が切れるんじゃないかって位思いつめている様に見えた…
そして決まってその視線の先には……
翔くんがいた。
「バラエティやラジオの撮りだめがあるから、今日明日は様子見るんじゃない?警察に相談してバレるのは一番怖いだろうから…」
翔くんの冷静な分析…
確かに以前、あまりに忙しくて雲隠れした先輩方の話によれば、事務所サイドは簡単に捜索願いは出さないって…
だけど翔くん…何か事件に巻きこまれたんじゃないかって……
そこは心配する所じゃない?
冷静過ぎる翔くんは、らしいと言えばらしいけど……
頭の回転も早くて、周りの空気を読むのが上手な翔くんなら…気づいていたでしょ?
松潤の視線に……
オイラの胸に突っかかる不安と疑問の棘は深く痛みを放つ…
だけど…
その核心に触れる事を…翔くんは避けている…
同じように、オイラも避けている…
真実が…この関係を、嵐を、壊す…そんな気がして…オイラは翔くんに聞く事が出来ない…
「どちらにしろ今日の打ち合わせはできねーな…」
そう言って翔くんは椅子の背もたれに寄りかかった。
オイラは翔くんの冷めた様子に違和感を感じながら言う。
「松潤の行きそうな所とか、心当たりないよね?」
翔くんは首を傾げ相葉ちゃんは首を左右に振り、ニノは少し考えている様だった…けどすぐに「ないね…」と一言言った。
すると会議室にチーフマネージャーが入ってきた。
「すいません、今日はこれで解散です…とても、そんな状況じゃ…あっ!松本さんの、行きそうな所、心当たりある人いました?」
よっぽど落ち着かないのか、チーフマネージャーは矢継ぎ早に言葉を吐き出す。
「今話してたんすけど、松潤結構秘密主義だったから、分かんないっすね」
翔くんがオイラの代わりに答えてくれた。
「…そうですか…」
かなり参っているのか、チーフマネージャーは大きなため息をついてから「この後仕事がある方はそっちへ、無い方は出来れば自宅待機でお願いします」とだけ告げて、足早に会議室を出て行った。
会議室のドアが閉まると同時にニノが
「相葉さんこの後は?」と聞くと相葉ちゃんは
「志村動物園の打ち合わせ、ニノは?」
「ワタシ取材です」と答えてから、全員の予定を確認する様に続けた。
「翔ちゃんは?」
翔くんは相変わらすポーカーフェイスで答える。
「オレ何もない」
その言葉に相葉ちゃんが「いーなー…でも朝から集まったのに、急にオフって言われても損した気分だね」と少し不謹慎な事を言う。
「まあ良かったよ、オレ予定あったし。」
と、翔くんまで不謹慎な事を言った。
「翔くん自宅待機だよ?」
オイラも、思わず口に出してしまって…自分らしくないな…と思ったけど…
「分かってます、家でやりたい事があるって意味だから安心して、大野さん」
と翔くんは余裕の表情で言うので何だか恥ずかしくなって「そっか、そうだよね」と笑いながら誤魔化す様に言った。
何でこんなに翔くんの言葉に反応したのか、あの時は一切分からなかった。
今思えば野生のカンとか、鼻がきいた、ってヤツだったんだと思う…
そう…今思えば……