short novel
□ずっと愛す
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「私達、もう無理だよ……」
苦笑を浮かべながら彼女がそんなことを言ってきた。
雑誌を読んでいた俺は慌てて彼女の隣に座った。
「いきなりどうしたんだよ? 冗談だろ?」
俺は質の悪い冗談だと思い、少し笑みを浮かべながらそう言った。
彼女も笑って冗談だよなんて言ってくれることを想像しながら……。
「ううん。もう無理なんだよ、私達。別れよう?」
いつも優しい彼女はこんな時でも優しい表情をしながらそんな残酷なことを言う
。
俺はどうしても信じられなくて、信じたくなくて彼女の肩に思い切り掴みかかっ
ていた。
「俺にダメなところがあるなら直すからっ……頼むよ、そんなこと言わないでく
れよ……」
涙を流しながら別れないでと言う俺の姿はどれだけ滑稽だったんだろうか。
彼女はそんな俺の手にそっと自分の手を重ねてくる。