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□Lie,Lie,Lie
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枕に埋めていた顔を上げ
欠伸をひとつ
9時にかかった1本の電話は
友達から恋人への第一歩を
ジャマするには十分すぎた
夢ででもその一歩を歩めたなら
鬱々としたこの気持ちも
10秒くらいで回復しそうなのに
人間はフシギなもので
頭で「寝よう」と考えてると
うたた寝すら出来なかったから
やっぱ起きていようって思った
9時の電話のことも忘れて
そして明日になったら
悔しさに近いこの気持ちを
オブラートに包んで言えばいい
仕方の無いことだから
ただ、今は 明日になるまで。

そして時間潰しとして
ノートに色んな思いを書いた
止むを得ないことへの思いを

「砕けた期待が大きすぎた分
そのあとに返る反動が凄い」
「悔しさというより
歯痒さだったりするのかも」
みたいなことを書いていたら
いつの間にか空が朱くなってた
時計は6時を指していた
まだ登校まではかなりの時間だ
明日まではあと6時間なのに

暗くならない外の景色
ノートに詰まった色んな気持ち

「早くマークに会いたい」
10個程あったその言葉を見て
目尻が熱くなった
手で乱暴に拭った涙は
ノートに落ちた

「出掛けてくるよ
駅に着いたらまた連絡するね」
と、ノートの切れ端に書いて
荷物も何も持たず
涙も中途半端に拭った状態で
涙菅を伝い出る涙も放置して…
はっきりと、会って言いたい
ずっと書いていた気持ちを

だから大好きなマークの所まで
月もまだ出ていない外を
ただ走った。
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