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□レジェンド
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今日はハロウィン。
ライオコット島にも、仮装をして「トリックオアトリート!」って言ってお菓子をもらう習慣があるみたいで
朝早くから、仮装の準備をするメンバーも居た。
道路を何分かおきに通る、エントランスエリア行きやアメリカエリア行きののバスは、大半が仮装をした人たちで埋まっている。
でも今、ここジャパンエリアのグラウンドにも沢山人が居る。
ついこの前試合をしたアメリカの代表たちも
僕が居ない間に試合をしたイギリスやアルゼンチンの代表たちも
全員じゃないけど、沢山居て
選手じゃない人も、みんな仮装をしてここに居る。
僕も、さっき目金くんに「吹雪くんには狼男がオススメですよ!何せこの目金がry」って言って渡された、狼男の衣装を着ている。
僕の考えてた狼と違って、灰色で、寒いところに居そうな狼の衣装。
僕に似合うってことだったのかな? だったら何だかちょっと照れるなぁ…。
そんなことを考えて、ふと目線を前に戻すと
遠くの方に、化け猫みたいな格好をした綱海くんと、カボチャパンツの王子さまみたいな格好をした立向居くんが、飴を食べてるのを見付けた。
ピンクとオレンジ色の、ぐるぐる巻かれた大きなペロペロキャンディ。
「僕も貰いに行こう!」
チョコやクッキーを沢山詰め込んだ紫の袋を揺らして
人混みの中を潜り抜ける。
「あれ?」
さっきまでここに居たのに
どうやら、人混みに紛れて二人は結構遠くまで行ってしまったみたいだ。
仕方無い。あのキャンディは諦めよう。
まだイナズマジャパンメンバーは沢山居るんだから!

とは思ったものの、朝から準備をしていた大半のメンバーたちは、もうすっかりこの人混みの中であの呪文を言われて、お菓子が無くなってしまったみたいで
結局僕は、いたずら用に用意してたビックリ箱で、選手じゃない人も合わせた10人ぐらいを脅かしただけだった。
けど、リアクションはみんなすごく面白かった。
飛鷹くんが意外に面白かったけど、やっぱり円堂くんが一番面白かった。
ビックリ箱を開けて、大きなサッカーボールおばけが出てきたのを見て、思わずイジゲン・ザ・ハンドを使いかけてたんだから!
そんな円堂くんも…というか、円堂くんだからこそ、いろんな人にあの呪文を言われて、多分一番最初にお菓子が尽きたと思う。
けど、円堂くんは「お菓子をくれたイナズマジャパンのメンバーだけ!」って言って、特別にあることを教えてくれた。
「鬼道から聞いたんだけど
、実はまだ、宿舎にお菓子をたっぷり持ってる奴が一人だけ居るらしいんだ! 俺はもうお菓子持ってないし、イタズラされるだけだから行けないけど…。」
って!
こんないい情報を貰ったからには、円堂くんへのお礼のお菓子を貰ってこないわけにはいかない!
円堂くんとしっかり約束して、僕は宿舎に向かった。

「……本当に誰か居るのかな…?」
期待を寄せて向かった宿舎は、自然と口からこんな言葉が出てしまうほど静かだった。
マネージャーもみんな外に出てしまっている。
玄関から一階全体が見渡せるから、人が居ないと分かるし、人の気配がない。
いつも賑やかな宿舎が、こんなに静かなのが何だか怖くて
恐る恐る二階に続く階段を一段ずつ上る。
階段を上ると、外から聞こえていた声も少し小さくなって、更に怖くなる。昼間なのに情けないとは思うけど…。
でも、円堂くんと約束したからには
「Trick or treat?」
「出たァァァアアアアッ!!!!!!」
おばけだ!!!!!!
前に鬼道くんが話してた、ハロウィンの由来の地域に居たおばけだっ!!!!!
怖かったけど昼間だから大丈夫だって思ってたのに…!
人じゃないからお菓子をあげたってダメだし…

のままじゃあっちの世界に連れていかれてしまうかも…
それはなくとも呪われたり金縛りにあったりするかもしれない…
誰でもいいから助けて!!!
そう言いたいのに震えて声が出なくて、気が付いたら視界がぼやけてて、泣いてしまっていた。
「す…すまない吹雪…」
「…へ?!」
聞き慣れた声がした。
涙が止まらないまま、後ろを向く。
そこには、僕と似た狼男の格好をした豪炎寺くんが居た。
……ってことは、さっきの声はおばけじゃなくて豪炎寺くんで、僕はおばけじゃなくて豪炎寺くんが怖くて泣いてしまったんだ……
よく考えなくてもそうなってしまう。
そう思うと恥ずかしくて、ただでさえもう目の周りが赤いのに、ほっぺも耳も赤くなってしまう。
「…でも、はぁっ……豪炎寺…くんで、ぐずっ…よかった…」
ぽつん と、独り言のつもりで呟いたあと
足の力が抜けて、ぺたんと床に座り込む形になってしまった。
そのまま見上げる豪炎寺くんの目が、すごく優しい気がして、今度は安心感で涙が出てきた。
「吹雪…本当に」
「ぅっ…、もう……謝らなくて、ぐずっ…いいよ…」
豪炎寺くんは、僕の前に座り込んで、背中を優しくゆっくり叩いてくれた。
何だか、お母さんやお父さんやアツヤみたい。
僕が泣いたとき、まだ小さかった僕をこんな風に抱き締めて
「だいじょうぶ」
って、何回も言いながら 僕が泣き止むまで、優しいリズムで僕の背中をぽん、ってしてくれてた。
もしもおばけが来てたなら
お母さんとお父さんとアツヤだったかもしれないなぁ…。
そんなことを考えていると、体が急に浮き上がった。
「え?!」
一瞬魔法でもかかったのかと思ったけど、狼男は魔法使いじゃない。
むしろ、狼男の腕力に、体が持ち上げられていた。
「っ…豪炎寺…くん…?」
「動けないんだろ?それにまだ、その袋の中身も貰ってないしな…」
そう言って、豪炎寺くんは、さっきまで僕の足元にあった紫の袋を見た。
「…豪炎寺くん…ぐずっ…っお菓子欲しかったんだっ!!」
そう思うと、僕だけが豪炎寺くんの秘密を知れたみたいで嬉しくなる。
「ちがっ…」
「……っ、ハッピーハロウィンっ…ぐずっ…」
紫の袋ごと豪炎寺くんに差し出す。
「……今は手が塞がってるからあとで受けとる ……その、ありがとう」
顔はこっちを向いてるけど
目が泳いでてすごく面白い。
やっぱりお菓子が欲しかったんだ!
「吹雪、ハッピーハロウィン」
「っ…!」
豪炎寺くんが
不意打ちで、お返し(仕返し?!)のキスを僕にくれた。
あんまり見れない豪炎寺くんを見れて、ちょっと笑顔が出てきて、油断してた…。


そう、心の中でちょっと反省する吹雪でした。






___________
今更ハロウィンとか言わない!!
うちはうちで長めの後夜祭やるのよ!!
ほら、よそはよそ、うちはうちって言うじゃない(

ってことでハロウィン!
兼初豪吹ロング。
修也さん殆ど出てねえ(^Д^)gm
しかも若干吹豪吹ちっく…(

あ、ちなみに鬼道さんのお話
ハロウィンの由来の地域(どこか忘れた←)では
10月31日を「物事が入れ替わる日」ってしてて
その日に霊界も入れ替わるから、霊がこっちに来てたんだって。
で、それを避けるために仮装をしたらしい(うちの学校の図書新聞より←)

あ、あと一個大事なこと!
ふぶきゅんはお昼前に準備始めた(実は修也さんも)から誰にもお菓子もらえなかっただけだよ!
色んな不和だとかそんなの嫌だからね…!;;←
だから綱立見失ったのも逃げられたんじゃなくて偶然!
てかふぶきゅんみたいなかわいこちゃんが避けられる訳ない\(^o^)/(

鬼道さんはすべてを悟っていらっしゃいます。
 

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