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□円風円小ネタ
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11月…
文化祭やテストで、当たり前かのように部活が出来なくなる。
迎えるのは二回目だけど、やっぱりあんまり好きなほうじゃない。
部活が出来ないのも勿論嫌だけど
この時期は気持ちが落ち着かない。
「おはよう風丸!!」
という、短いながらも元気な挨拶から始まる朝も
宿題を出してなくて居残りさせられてるのを置いて帰ってしまう夕方も…。
髪を下ろしていても寒いほど、気温は低いはずなのに、両手で包む頬はどうしても熱い。
この熱が何か
なんてことは分かってる
けど、認めたくない……いや、認めたらダメなんだと思う。
「はぁ……」
部活が出来ていれば、集中して考えなくていいのに。
「何でため息なんかついちゃってんだよ!」
聞き覚えのある声と、優しく、重たく肩にのしかかる手のひら。
「円堂…」
涙が出そうになった。
自覚しちゃダメだと思ったとき、俺に何かあったって気付いて隣に居てくれる。
その優しさも落ち込む原因だなんて知らないから。
ああ、髪を下ろしていてよかった。
寒い風に吹かれてなびいた髪が、横顔を隠してくれた。
「そういえば、今日は髪下ろしてるんだな」
話に、何の脈絡もない。
「寒くなってきたからな」
そう言って、瞳に溜まった涙をこぼさないように、ムリヤリ、はにかむ程度の笑顔を作った。
この、何とも言えないもどかしさをいつまで抱えていられるのか
いつかこの髪に触れてもらえる日が来るのか
そんな風に考えていると、また涙が滲んできた。
「でも何か違和感があるんだよなぁ…」
不意に円堂が言って、それからすぐに、帰り道の別れる交差点に着いた。

「じゃあな!」
「ああ 気を付けろよ」
「風丸もな!」

そんな短い言葉のやりとりをして、俺たちはお互いに、背中合わせの方向に進んでいった。
それから、俺は後ろを振り返った。
「寒かったわけじゃないんだ。 お前に見てもらいたくて髪を下ろしたんだ」

遠くなっていく後ろ姿に向けて
小さく囁いた。




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taaaaaaalk!に書いたけど
ちょっとほっこりすることがあって書きたくなったやつw
風丸が乙女過ぎたかなとか反省←
やっぱ円風円は切甘がいいなと思う
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