夢小説

□マネージャーのお仕事A
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 東京がマネージャーになって早二週間経った。

 彼がマネージャーになってから、様々な変化があった。

 まず、部員達の動きが前よりキレが増した気がする。皆、京に言われた短所をなくすようにする姿が見られるのだ。

 もう一つは、練習がより充実してきた。京はスポーツドリンクやタオルを用意したり、部員達の衣類などを洗濯するなどの一般的なマネージャーの仕事だけではなく、部員の能力を解析してアドバイスしたり、個人に合った練習プログラムを作ったりしてくれる。これには部員全員が舌を巻いた。『サッカーは嫌いだ』と本人は口にするが、その言葉が定かなのかは相変わらず不明である。

 そして、変化は部活だけではない。ほんの少しだが、部活中じゃなくても京は部員達と会話をするようになった。相変わらず感情がこもっていない抑揚のない声だが、鬼道有人にとってはそれは進歩したと思える。
しかし同時に、鬼道はある疑問を抱くようになった。

 それは、京の過去。いや、今までの彼の生い立ちが気になるのではない。鬼道は、彼はきっとサッカーの経験があったと考えた。

 そうじゃなければ、飛んできたボールから影山を庇うように蹴り返す事は不可能だと思う。たとえそれがまぐれだったとしても、あんな正確にゴールを狙う事は出来ないはず。

 用意してくれるスポーツドリンクは部員一人一人に合ったブレンド、部員一人一人への的確なアドバイス、短所だけではなく長所をきちんとのばしてくれる個人プログラムの制作。並みの人間は、こんな事出来ないだろう。
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