呪術師の娘

□娘と復讐編
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「すった。」
「何を?」
「有り金全部、ギャンブルですった。」
 すっかり眠気の吹き飛んだ様子のフェリオの顔が見る見る青ざめる。
「――もしかしてレオ、馬鹿?」
 頭を通さずにするりと言葉が出た。
 少し驚いたように、レオナールの形の良い眉が跳ねる。
「有り金全部って、私たち、パーティーのお金は全部レオナールに預けてたよね?」
「――あぁ。」
 依頼を受けた後、自分で使うある程度のお金は手元に残して後はレオナールに預ける。
 それが私たち三人の、いつの間にかと暗黙の了解になっていた。
 レオナールが最年長だし、頼りになると思っていたし。
 なのに、まさかこんなことになろうとは。
「それってさ、お金無くしただけじゃなくて、私たちの信頼まで踏みにじったってことだよね?」
「――リズさん?」
「フェリオくん、少し黙ってて。」
「はい。」
 しゅんとうなだれるフェリオ。
 かわいいけど、いつもみたいに幸せな気分になれない。
「ねぇ、レオ。どうしてお金無くなるまでやめれなかったの?」
「――それがギャンブルな怖いところだ。」
「そんな言い方しても全然かっこよくないんですけど。」
 もしかして、怒ったのだろうか。
 レオナールの眉が少し跳ねる。
 でも全面的に非があるのはレオナール。
 私も今回は圧されない。
「私が言っても説得力ないかもしれないけどさ、お金って本当に大切だし、怖いんだよ?」
 頬杖をしてふて腐れた態度をとるレオナール。
 この男。
「聞いてる?」
「聞いてるよ。」
「だったら何でそんな態度とるの?」
「――済んだことをぐちぐちぐちぐち。」
 一瞬頭が真っ白になった。
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