呪術師の娘

□五十章 朝食はお早めに
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 朝の日差しに起こされ、私は目を覚ました。
 あくびを噛み殺すと、辺りを見渡す。
 ゲイプたちのパーティーは、まだ全員眠っているようだ。
 私たちの方はというと、フェリオとレオノーラの寝袋が空だった。
 他のみんなを起こさないように、そっと山小屋を出る。
 すると、そこにはスープを掻き混ぜているフェリオと、ぼんやりしているレオノーラの姿があった。
「おはよう。」
「おはようございます。」
 にっこりとフェリオが微笑む。
 それだけで幸せな気分になれた。
「おはようございます。」
 レオノーラも少し遅れてこちらに顔を向けた。
「フェリオくん、何か手伝うことある?」
「もうスープは出来たから大丈夫ですよ。」
 にこりとフェリオは微笑んだ。
「でもみなさんを起こしてくださると嬉しいです。」
「わかった。」
 私は再び山小屋に入った。
「レオ。」
 レオナールの寝袋を揺する。
 するとその中のレオナールがもぞりと動いた。
「ご飯だって。」
「あぁ。」
 気怠そうにレオナールが寝袋の中から出て来る。
 レオナールが体を動かすと、ぼきぼきと盛大な音がした。
「おはよう。」
「あぁ。おはよう。」
 その声に反応したのか、ゲイプの寝袋が動いた。
「おはようございます。」
 寝袋から顔を覗かせるゲイプ。
「おはよう。」
「朝ご飯ですよ。」
「ありがとう。」
 ゲイプは寝袋から出ると、順に仲間の寝袋を蹴り飛ばした。
 ワイルドである。
 これならみんな起きるだろう。
 私は山小屋の外へ戻った。
「リジィ以外はみんな起きそうだよ。」
「リジィさんは後で私が起こすからそっとしておいてあげてください。」
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