呪術師の娘

□四十七章 休憩は頻繁に
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 今日は昨日より気持ちが楽だった。
 それはなぜかと言うと。
 リジィの存在が大きかった。
 私ほどではないとは言え、リジィの体力はなかった。
 疲れるタイミングも、ほぼ同時。
 だから足手まといが私だけでなくなって、私はとても安心していた。

「――疲れた。」
「さっきも休んだだろ?」
「魔物に襲撃されて、あれで休んだと言えるのかな?」
「は?」
「リジィさん! 疲れたんなら私がおんぶしますよ。」
「黙れ雌豚。」
「――。」
 しゅん、と肩を落とすレオノーラ。
 リジィのことを想っていっただろうに。
 かわいそうだ。

 私も弾む息を整えながらレオナールに話しかける。
「レオ。」
「ん?」
「実は、私も。」
「お前もか。」
 レオナールは盛大に溜息を吐いた。
「フェリオ、どこで休憩する?」
「ここで休憩しても問題ないと思いますよ?」
 そのフェリオの言葉と同時にリジィはその場に腰を下ろした。
 それから私も。
「ったく。」
 レオナールも腰を下ろして煙草に火を点ける。
「呪術師ってのはだらしがねぇ。」
 フェリオですらちゃんと付いて来ているのに、と後に続く言葉に、なぜだかとても胸を打たれた。
 フェリオには失礼極まりないけれど。
「あの。」
 レオノーラはおずおずとレオナールに話しかける。
 こうして見ると、二人はとてもお似合いに見えた。
 外見だけならば。
 美男美女、という言葉がぴったりである。
「私も一本貰っていいですか?」
「――お前も吸うのか?」
「はい。」
 その瞬間、リジィの目が光った。気がした。
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