呪術師の娘

□四十五章 彼は彼女と
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 夕食の後。
 後片付けを終え、私は体を休めるために早々と寝袋に入っていた。
 優しいフェリオが疲れきった私を労ってくれて、そうしているように言ってくれたのだ。
 フェリオは焚火に薪を焼べ、レオナールは川の近くで煙草を吹かしている。
「今晩、どうしますか?」
 そのフェリオの質問の意図が理解できなかったのか、レオナールは首を捻った。
 しかしそれは一瞬だけのこと。
「俺が見張りするからお前らは寝とけ。」
「私が結界張るよ。」
「先は長いんだから寝とけ。」
「レオだって。」
「山小屋で別のパーティーがいりゃそいつらがしてくれるよ。」
「でも――。」
「途中で僕が交代しますよ。」
「役に立たんだろ。」
「――。」
 その時のフェリオの寂しそうな顔と言ったら。
 胸が締め付けられる思いだった。
「あのストーカーは? えっと、クレイシアさん?」
「あいつは突き落としてきた。」
「生きているでしょうか。」
「人に嫌われる奴ほど長生きするって相場は決まっている。」
「――。」
 フェリオは困ったように笑みを浮かべた。
「明日は山小屋に着きたいからな。早く出発するからフェリオも寝とけ。」
「それではお言葉に甘えて。」
 フェリオはごそごそとリュックサックをあさった。
 ちなみに、私とフェリオは寝袋を持っていなかったので色違いのお揃いで買った。
 私が赤で、フェリオが水色である。
 レオナールには気持ち悪いと言われたが気にしない。
 本当に気になっていない。
 仲の良い女の子がお揃いの物を持ちたがるのは世の常で、本当に気にしたりなんかしていない。
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