七色の輝きを求めて

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「イーブイ、"電光石火"!!」


ツバキの指示を受け、イーブイは迷わず一直線にアラシに向かっていく。


「アラシ、ジャンプ!」


一直線に走ってくるイーブイがぶつかる直前に、アラシは空高くジャンプする。
攻撃をかわされたイーブイは勢いをつけて走っていたせいか、体勢が少々崩れた。
次の瞬間アラシはイーブイのすぐ後ろに着地し、その様子を見たツバキはしまった、と言いたげな顔をする。


「"スピードスター"!」
「"影分身"でかわせ!」


アラシが"スピードスター"を放つ寸前に、イーブイは"影分身"でかわす。
かわしてすぐ、大量の分身でアラシを取り囲み、囲まれたアラシはどれが本物のイーブイが見分けがつかず混乱する。
だが、アラシよりも指示をしているカエデの方が焦っている表情を浮かべていた。


「(っ……あんなに"影分身"されたら、本物の見分けがつかないっての……!)」


そんなカエデの様子を見つつ、ツバキは問答無用で次の攻撃を指示をする。


「"アイアンテール"!!」


"影分身"と本体の混ざった大量のイーブイ達が、上から多い被さるようにアラシを"アイアンテール"で襲い掛かる。
上からではアラシも得意のジャンプも出来ず、逃げ場もない。


「ヤ、ヤバッ…!」
「…終わりだな。いけっ!イーブイ!」


ツバキの掛け声と同時に"アイアンテール"がアラシにたたき付けられる。
"アイアンテール"の威力が凄まじい物だったのか、土煙で辺りは覆われ何も見えなくなる。
勝利を核心したツバキとは対象的に、カエデはアラシの名を必死に呼ぶ。


「アラシ!!!」


いくら呼んでもアラシの姿は見えない。


「アラシ…っ……!!」


歯を食いしばるように声も絞り出る。
――その時だった。



ボオオオォォォ!!!!



突然火柱が立ち上り、一気に熱風がカエデとツバキに降り懸かる。


「!?」
「あっつ…い、いったい何が…!」


二人が驚きながら視線を向けたその先にいたのは、倒れているツバキのイーブイと――一匹のマグマラシだった。
そのマグマラシの姿を見た瞬間、カエデは目を見開きながらマグマラシにゆっくりと近づく。


「もしかして……アラシ?」


そう問われたマグマラシは、嬉しそうにスリスリと自分の顔をカエデの顔にこすりつける。
その行動から、このマグマラシはアラシが進化した姿だという核心を得た。


「やっぱりアラシだったのか!さっきの火柱凄かったなぁ。…でも、んな風になる威力の技覚えてたっけ…??」
「たぶん…今の技、"火炎放射"と"オーバーヒート"が合体した技じゃないのか?」
「え?」


突然声が聞こえてきた後ろに視線を移すと、そこにはアラシに倒されてしまったイーブイを抱いたツバキが立っていた。


「合体した…?技が?」
「あぁ。きっと、進化する為にアラシの中に蓄えられていたエネルギーがカエデへの強い想いによって何らかの影響を与えたんじゃないか?」
「で…結果的に"火炎放射"と"オーバーヒート"を同時に覚えたってのか?そんな事、有り得るのか…?」
「そんだけアラシのカエデへの想いが強いって事だよ」


そう言われ、ツバキへ視線を移していたカエデはアラシに視線を戻す。
暫くじっとアラシを見つめ、アラシがにっこりと笑った瞬間、カエデも一緒になって軽く笑う。


「そうだな…。なんたって最初のパートナーだから、な」




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