小説1

□重量オーバー
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「 なまえ、好き 」

貴方は、いつもいつも私に
言う。「 好きだ 」「 愛し
てる 」と。勿論、私だって
貴方の事を愛してる。だけ
どね、そんな言葉は、もう
聞き飽きたの。そして貴方
はまた、私に求めるのだ。

「 なまえも言って、 」

と。いいわ、そんなもの幾
らでもあげる。減るもんじ
ゃないし。言ってあげても
いいけど、貴方は一体、何
が欲しいの?愛のない、そ
んな上辺だけの、くだらな
い言葉を貰って、貴方は嬉
しいの、?それで満足でき
るの?羨ましい限りだわ、
私が適当に言った、好きで
貴方は満たされてる。ほら
口角が上がっている。私は
そんなくだらない言葉より
貴方のその綺麗な身体が欲
しい、ほら、早く私を落と
してよ、果てまで連れてい
って。私の上に覆い被さっ
ている和也を、クルっと回
転させて、私が和也の上に
なる。ほら、早く貴方のソ
レを頂戴、?待ちきれなく
なった私は、自ら和也のソ
レに腰を沈めた。私はすん
なりと和也のを受け入れる
満たされていく身体とは裏
腹に、私の心には穴ができ
てゆく。だけど、充分過ぎ
るその質量に、私は確実に
果てへと追いやられてく。



「 かず、んっ、 」

「 なまえ、っく、! 」



和也が小さく声を漏らした
と同じに、私の中に和也の
ものがじんわり放たれた。











「 じゃあ、私帰るわ、」

「 ん、わかった 」

和也は満足そうに微笑んで
私にキスを落とした。和也
の舌が、歯列をなぞる。負
けじと、私は和也の舌に、
自分の舌を深く絡めた。玄
関に厭らしい水音が響く。
離れた唇は、名残惜しそう
に銀色の糸で繋がっていた



「 送ってやれなくてごめん、 」

「 大丈夫、じゃあ 」



私も貴方のことが好きだけ
ど、貴方の愛はもういらな
い。もう沢山なの。だから
サヨナラしましょ、永遠に





 量オーバー
 ( ピーーーーー、重量オーバーです。)










 
 

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