小説1

□近くて遠い貴方へ
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顔も、声も、仕草も。全て
いとおしくて堪らない。こ
んなに近くにいるのに、触
れる事ができない。この関
係がもどかしくて仕方ない



「 翔ちゃん、! 」

「 、どした? 」

「 好き、」

「 俺も好きだよ、 」



両思いなのに、何故こんな
に胸が痛くて仕方ないの?



「 なまえ、 」

「 なあに、翔ちゃん 」

「 おいで? 」



腕を広げて、顎で合図する
何故俺達は兄妹なのだろう
悲しくなって、なまえを
ぎゅっ、っと抱き締めた。



「 しょちゃ、くるし、 」

「 、ごめん 」



そう言ってキスを落とす。
久しぶりの感触に、身体が
なまえを欲しがったけど
越えてはいけない、と解っ
ていたから。だから、何度
も何度も、なまえの唇に
自分のものを重ね続けた。



「 なまえ? 」

「 なあに、 」

「 俺、彼女できた 」

「 え、 」



こんな関係、いつまでも続
けていけない。なまえが
驚くのだって無理はない。
好きだけど、こうするしか
無かったんだ。否、好きだ
からこうするしかなかった



「 なまえも誰か見つけろよ、」

「 しょ、ちゃ、? 」



違う、俺が見たかったのは
なまえのこんな顔じゃない
あの大好きな、可愛くて、
無邪気な笑顔が見たかった
んだ。でも、このまま俺と
一緒にいてもいい事なんて
ない。俺も、なまえにも。



「 ごめん、部屋でて 」

「 そ、だよね、ごめ 」



なまえは無理に笑っていた
でも、涙を堪えきれていな
かった。胸がぎゅっと締め
付けられて、この腕でもう
1度なまえを抱き締めたい
気持ちで一杯になったけど
そんなことできなかった。
なまえが部屋をでたのを
確認したと同時に、俺の目
からは、涙が零れていた。



「 、なまえ 」

「 ごめんな、っ! 」



こんなに好きだというのに
何故、俺達は兄妹なんかで
生まれてきたのだろうか。
兄妹じゃなかったら、こん
なに辛い思いなんてしなく
てよかったのに。なまえの
顔も声も仕草も、全部、俺
以外の誰かの物になた時、
俺は笑って、よかったね、
と言う事はできるのかな?

近くて遠い貴方へ。この愛
が永遠になることはなかっ
たけど本当に大好きでした
今でも貴方を愛しています
だから、絶対に幸せになっ
てください。大好きな笑顔
をまた俺に沢山、見せてね





くて遠い貴方へ
( 大好きだから、一緒にいれない )





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