小説1
□茶髪とぴあす
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端っこが少し煤けた雑誌を
ペラペラとめくると、まだ
若くていけいけで格好いい
翔くんの姿があった。別に
今が格好いい悪いだとか、
いけいけじゃないだとかじ
ゃ無くて。格好くて、いけ
いけな服を身にまとって、
キラキラと輝く笑顔をカメ
ラに向けている翔くんに、
ドキッ、としてしまって。
「 何みてんの、? 」
翔くんは、さりげなく腰に
手を回して、私の肩に顔を
乗せて、後ろから覗き込む
「 若かりし頃の翔くん、 」
「 どうせおじさんですよ 」
そう言って、口を膨らます
翔くんを横目に、私はこん
な質問を投げ掛けてみる。
「 もう、茶髪にピアスしないの? 」
この翔くんは、茶髪にピア
ス。隣の翔くんは、黒髪を
ワックスで弄ったくらい。
「 なんで、? 」
「 私、好きなの 」
「 うわ、懐かし、! 」
「 こんなのまだ持ってたの? 」
「 大好きな翔くんが写ってるんだもん 」
捨てられるわけないよ、!
そう言うと、翔くんの顔は
じんわりと赤く染まった。
そんな翔くんが愛しくて、
私からキスをしてしまった
「 ん、なまえ 」
「 しょっ、くん、 」
私の唇が、少し開いたのと
同時に、翔くんの柔らかい
ものがするり、と侵入した
「 んっ、ふっ、! 」
それは、あまりに甘くて。
身体が溶けてしまいそう。
ちゅっ、というリップ音が
部屋中に、あまく響いた。
ゆっくりと目を開くと、色
っぽい表情の翔くんとばっ
ちり目があってしまって。
今度は私の顔が赤く染まる
「 かわい、」
翔くんは、ニコっと優しく
笑って私の額にキスをした
「 翔くん、私ね 」
「 黒髪で優しくて格好いい、
今の翔くんの方が好き。 」
耳元でそう囁いてから、照
れ隠しにえへへっと笑う。
翔くんは、ハハっと笑った
「 ありがと、 」
茶髪もピアスも好き。けど
黒髪の翔くんも好き。結局
は、翔くんという存在が、
大好きで仕方ないんです!
茶髪とぴあす
( 兎に角、翔くんが好き! )