小説1
□たまには、悪くない
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暖かい日差しが心地いい、
ごく普通のお昼休み。いや
今日は、いつもと違うな、
「 なまえさー、 」
「 ん、なに? 」
「 今日、スカート
やけに短くないですか? 」
「 そう、? 」
「 あ、あれだ、!
今日、翔ちゃんに会うとか、 」
そういうと、 なまえは
顔を真っ赤にして俯いた。
なんだよ、図星かよ。だか
ら今日は、メイクまでバッ
チリ決めてんのね。ああ、
自分で言っといてなんだけ
ど、悲しくなってきたな、
俺のほうが、ずっと前から
好きだったのに、なーんて
子供みたいなことを、言い
出せるはずもないわけで。
「 やっぱり、 」
「久しぶりのデートなの、 」
って、照れてるなまえが
あまりにかわいくて、この
まま翔ちゃんから、略奪し
ちゃおうかしら、なんてく
だらない事を考えてみる。
「 ったく、襲われますよ? 」
俺にね、って聞こえないよ
うに付け足して。ただでさ
えも好きな女の子なんだし
「 てか、それ誘ってんの? 」
「 え、? 」
「 足組み換えすぎ、 」
「 く、癖なんだもん 」
「 ばかなまえ 」
そのせいで、こっちは欲情
しちゃってるってのにさ、
なまえは、どれだけにの
ちゃんを困らせたいのよ。
「 じゃあ、行くね! 」
ういー、っと、あからさま
にダルそうに、適当に返事
をして、なまえが手を振
ったのを見て、机に顔をう
ずめたまま、反射的に、ゆ
るゆると手を振り返した。
たまには、追いかけてみる
のも、悪くないかな、なん
て心にも無いことを嘆いて
みる。できる事なら、この
手でなまえを奪って自分
の物にしてしまいたい。で
も、今は我慢しときます。
なまえ、幸せそうだし。
悪くない、( っていったら嘘になるかも、 )
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