小説1
□隣の眼鏡くん
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いつもボサボサ頭で、ゲー
ムをしてる、ヘンテコ眼鏡
をかけた隣の席の男の子。
彼の名前は、二宮。下の名
前も解らないし、話した事
もない。興味も無いけど。
「 、あ、! 」
机から消しゴムがポロリ、
と落ちたかと思うと、辿り
着いた場所は、隣の変な奴
の机の下だった。最悪だ、
「 二宮くん。とって貰える? 」
そういうと、彼は何も言わ
ずに消しゴムを拾って、私
の机の上にポンと置いた。
一応、お礼を言おうと彼を
見上げれば、ヘンテコ眼鏡
が、少し斜めにずれていた
「 眼鏡、ずれてるよ、? 」
「 え、ああ 」
始めて聞いた彼の声は、予
想以上には高くて、透き通
ってて、かわいい、という
のが1番ぴったりだった。
もたもたして、眼鏡を直さ
ない二宮に苛立ちを覚えて
「 ほら、 」
と、二宮の眼鏡に手を伸ば
すと、手が滑って眼鏡は床
にガシャン、と音を立てて
落っこちてしまった。その
反動で、彼の眼鏡のレンズ
は見事に割れてしまった。
「 あ、ごめん! 」
「 大丈夫です、 」
こういう奴ほど、怒ると怖
いって言うよな、と、恐る
恐る二宮を見ると、少し苦
笑して私を見下ろしていた
「 あ、 」
「 全然、大丈夫ですから 」
買い換えようとしてたし、
と、二宮は小声でつけたし
た。私は、言葉がでなかっ
た。今まで、変な奴としか
思って無かった二宮に、一
目惚れしてしまったから。
「 あのー、 」
「 へ、? 」
「 眼鏡、一緒に選んでくれません? 」
「 ぼく、センス悪くて 」
そう言って笑った二宮に、
ときめいてしまって。ああ
私、この変な奴に恋しちゃ
ったんだ、って確信して。
「 二宮、」
「 はい、? 」
「 下の名前、教えて 」
「 、和むに也で和也です 」
二宮は、少し身を乗り出し
て、私の机に、自分の名前
をサラサラと書きこんだ。
「 私は、 」
「 なまえさん 」
「 なまえ、でしょう? 」
「 なんで知って、! 」
「 なんでって、好きな子の
名前くらい覚えてますよ、 」
「 え、? 」
「 あ、ごめん!気にしないでください、 」
「 私も、! 」
「 私も、好きだから 」
「 え、? 」
「 今好きになったばっかりだけど、
どうかな? 」
「 やべ、超嬉しい 」
隣の眼鏡くん
( それは、運命の人でした )
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