小説1
□あなたは氷でできている
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「 潤くーん! 」
何度呼んでも返事をしてく
れない潤くんの肩を揺する
と、潤くんは如何にも不機
嫌そうな顔で私の事を見つ
めた、というより睨んだ。
「 なに、 」
潤くんはそれだけ言って、
読んでいた雑誌に目線を戻
した。潤くんはソファに座
ってて、私は立ってるから
必然的に、私が上から見下
ろす形になってるわけで。
潤くんって、本当に睫毛長
いんだなあ。ほんとうに羨
ましい。私のと変えて欲し
いくらいだよ、だなんて、
見とれてたのも束の間で。
「 何かついてんの、? 」
「 ふえ、 」
「 何だよ、その声 」
「 いや、 」
「 俺の顔何かついてる? 」
「 つ、ついてないです 」
「 ふーん、 」
潤くんが少し笑ってくれた
だけなのに、すっごく嬉し
くって。私は、冷たくてお
堅い潤くんよりも、甘くて
優しい潤くんがだいすき。
「 で、なに 」
「 あのね、 」
ちょっと耳貸して、と、潤
くんの耳元で、大好きだよ
って囁いた。潤くんの耳が
ほんのりと赤くなって、私
も何だか恥ずかしくなった
から、潤くんの柔らかい唇
に自分の唇を重ねた。触れ
るだけのキスをして、潤く
んを見下ろして、えへへっ
と、笑うと、仕返し!って
今度は私が潤くんにソファ
に押し倒されて形勢逆転、
直ぐに潤くんの唇が私の唇
に降ってきて、さっきのキ
スとは比べ物にならないく
らい、甘くって、深くって
優しいながいキスをした。
「 ん、ふあ、! 」
少し苦しくなって、潤くん
の胸を手で軽く押すと、私
の気持ちが伝わったのか、
唇が名残惜しそうに離れた
「 なまえ、 」
「 、ん? 」
「 愛してるよ、 」
「 じゅ、くん、 」
「 お前、顔真っ赤 」
「 、っ、ばか! 」
あなたは氷できている
( 甘くて冷たい貴方に蕩ける )